爪と目には短編が二つついている。「しょう子さんが忘れていること」と「ちびっこ広場」である。この二編が「爪と目」と決定的に違うのは小説が閉じていないことです。小説として終わっていない。犯人が最後まで分からない推理小説みたいに読者は宙ぶらりんな空間に放り出される。具体的に言えば、「しょう子さんが忘れていること」は彼が誰なのか(三人称で書かれていますから)、「ちびっこ広場」て゛は母子でちびっこ広場に行かなければ小説は閉じない(終わらない)。
一方、未完の小説が読者に限りなく想像をかき立てるのは、どこで終わっても小説が閉じているからで、または、そのように書かれているからです。そういう意味では「爪と目」はどこで終わっても、小説として閉じたでしょう。小説は短編長編にかかわらず「閉じる」ことが要求されます。そうでなければ独り言になります。
一方、未完の小説が読者に限りなく想像をかき立てるのは、どこで終わっても小説が閉じているからで、または、そのように書かれているからです。そういう意味では「爪と目」はどこで終わっても、小説として閉じたでしょう。小説は短編長編にかかわらず「閉じる」ことが要求されます。そうでなければ独り言になります。