ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2014.8.13 100%はない、だから必要以上に検査はしない

2014-08-13 19:44:46 | 日記
 何度もこのブログで紹介させて頂いている、朝日新聞静岡版の渡辺先生のコラム。
 今回も、心穏やかに治療をしていくために、という観点から思いを同じくしたので、以下、転載させて頂く。

※  ※  ※(転載開始)

がん内科医の独り言(2014.8.9)
遺伝子検査
 ■患者混乱させる医師迷惑
 50代の女性が、乳がん治療に関するセカンドオピニオンを求めて受診されました。
 女性は右乳房にしこりを感じたため、病院でしこりに針を刺し、組織の一部を採取する検査を受けました。その結果、ホルモン剤が効くが、抗がん剤を追加した方が良さそうなタイプの乳がんという診断でした。
 1週間後に予定されている手術までに術後の治療を決めるよう言われたそうです。乳がんの7割はホルモン剤によって増殖が抑えられるタイプです。その半分はホルモン剤だけでよいのですが、残りの半分は抗がん剤治療を追加する必要があります。
 脱毛や吐き気などの副作用が強い抗がん剤治療は受けたくない、と思う人は多いと思います。「抗がん剤治療はやはり必要ですか」という患者の問いに対して、「手術前にホルモン剤を数カ月行い、しこりが小さくなれば効くということなので、抗がん剤は必要ないかもしれない」というのが私の意見でした。
 2カ月後、患者は再びセカンドオピニオン外来を受診しました。予定どおり手術が行われており、術後に主治医から抗がん剤治療が必要かどうかを調べる遺伝子検査を勧められたそうです。
 欧米では既に数種類の検査が日常診療として行われていますが、日本ではまだ正式には導入されていません。実施には50万円前後の自己負担が必要です。患者は勧められるまま二つの検査を受けたところ、一つの検査では抗がん剤治療は必要、もう一つでは不要という結果だったそうです。
 結局、高額を負担して実施した検査はあまり役に立たず、主治医からは「抗がん剤がいやならホルモン療法だけをやりましょう」と言われたそうです。これ以上、患者を混乱させてもかわいそうだし、絶対に正しい答えはないので、ホルモン療法だけ続けることに賛成しました。
 しかし、情報処理を間違った医師は患者に大きな迷惑をかけるということを痛感しました。
(浜松オンコロジーセンター・渡辺亨)

(転載終了)※  ※  ※

 日進月歩の医療の進歩により、以前は出来なかった遺伝子検査が可能になった。その恩恵を受ける人は少なくないのだろう。
 けれど、結局のところ、絶対ということはないし、このコラムの例のような場合、言葉は悪いけれど、本当に骨折り損のくたびれ儲け・・・になりかねない。もちろん、患者本人がそれで納得して治療を受け満足できるなら、それは何よりなことだ。が、何でもかんでもとりあえず検査、検査というのはやはり問題だな、というのが私の率直な感想だ。

 もちろん、初発だったら徹底的に検査して、癌細胞を無駄なくしっかり叩くのが完治への王道であるだろうことは疑いがないし、まさか患者を混乱させるために医師がこの2種類の検査を勧めたとは思えないけれど、複数の検査で相反する結果が出る可能性がある、ということを少しでも分かっていれば、そうそう気軽にお薦めすることも出来ないだろう。
 
 誰だって、検査をすればその後結果が出る迄、なかなか平穏ではいられないし、結果が出たら出たでこうしたケースだと実に悩ましい。もちろん、50万円前後を負担したとしても、検査結果に基づいた治療をすることで、その後再発することなく、完治しました、ベストな治療が出来ました、ということなら、それは万々歳。
 けれど、何分世の中、グレーな部分が多い。しかも命に係わることはとりわけそうだと思う。物事には100%はない、ということを頭の片隅にでもおいておくべきなのだろう。

 昨日今日と、これまでの猛暑に比べて随分と涼しい。ならば身体が楽か、といえばそうでもないのが不思議だ。なんだかだるくて眠くて・・・やはり夏の疲れが出てきているのだろうか。
コメント (4)
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