ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2016.11.2 採血後診察、ランマーク21回目、カドサイラ(T-DM1) 29回目(減量19回目)

2016-11-02 20:28:43 | 治療日記
 昨日は仕事が終わってから一人で映画を観に行った。夕食はてんでんこで宜しく、と殆ど主婦業を放棄している私と気の毒な夫である。その後、病院最寄り駅に移動、常宿に前泊した。

 そして今朝。曇天だ。冷え込んでいて日中も殆ど気温が上がらないという。もう冬のコートでいいですね、と天気予報士が言う。昨日に引き続きトレンチコートと薄めのストールではどうかな、とちょっと心配になる。夫にモーニングコールをした後、恒例の浴槽足湯を愉しむ。カフェで朝食を済ませてからチェックアウトし、病院へ。

 自動再来受付機では殆ど並ばず。採血は電光掲示板で14分待ちと表示されており、30人近く待っている模様。それでも10分ちょっとで中に入れ、ほどなくして呼んで頂けた。今日は2本の採取。初めての女性看護師さん、名札をチェックすることが出来なかった。すんなり紙テープにしてくださり、無事終了。

 採血台には息子が好きだったアンパンマンのマスコットが飾ってある。聞けば小児科にかかっているお子さんのお母様が沢山作って寄付されたそうな。小児科だけで飾り切れず、こちらにも回ってきたとのこと。イテテテ~みたいな顔をしているアンパンマン。鼻や口、ほっぺの赤いアップリケも既製品のように糊付けでなく、ひと針ひと針とても細かい針仕事が施されている。痛い時間を少しでも、というお母様の思いを私もしっかり受け取ることが出来た。止血しながら向かいの腫瘍内科受付へ移動。

 月初めの保険証チェックも終えて、定位置の待合椅子に腰かけ、読書を開始。今日は文庫本を2冊読んだ。1冊目は道尾秀介さんの「鏡の花」(集英社文庫)。帯には「まだ誰も見たことがない群像劇 生きていてくれて、ありがとう。その思いを込めて。と作者のサインが入っている。もしもあの瞬間(とき)に戻れたらー。」とあるが、あっという間に引き込まれて6章まで一気読み。大切な人を喪った後、もう一つの世界を生きる人たちの世界が繋がりあう様に深いため息をついた。
 
 1時間ほど待って、きりの良いところまで読み終わったので、今日も“中待合へどうぞ”の番号が電子掲示板に出ないうちに血圧測定。99-64、脈拍は76。
 
 その後15分ほどして中待合に入り、さらに15分ほどで先生がお顔を出された。いつものように「さて、お加減いかがでしたか?」と問われ、「おかげさまで概ね元気です。前回の投与後は、珍しく翌日まで気持ち悪さとだるさが残り、ナウゼリンを数回飲みました。他には目の痛みがあります。特に目を閉じた時、ゴロゴロする感じ、刺されるような痛みがあるので、夜眠る前にひどくなります。とはいえ、お天気により出る胸痛も特に悪化していませんし、今までよく出ていた鼻血も止まっています。痺れも温めると緩和されています。」と言うと、PCでカドサイラの副作用を調べてくださる。やはり1%未満であるが、眼痛はあるようだ。

 採血結果は特に変わったこともなく、白血球も4,000ほどある。そして、気になるCTの結果だ。PC上に去年の11月、今年の4月、7月、前回と4枚の画像が並んでいる。右上の楕円形の影は一回り大きくなっている。右の真ん中あたりの丸い影はあまり変わらず、左の茎のようなものは心なしか薄くなっているように見える。一番大きな右のアメーバ状のものはやはりゆるゆると不気味な感じに大きくなっている。そう、1年前に比べればどれも増大傾向だが、3か月単位として見ればそれほど急激な変化ではないとのこと。結果、また薬変更をするには悩ましい、と仰るのである。

 「では粘っていいのでしょうか」と問うと、「・・・いいと思います。」とのこと。「骨も増悪していないし、新しい病変も見当たりません。薬を変えるとしても、次の手に自信がないので、続けられるなら続けたほうが良いでしょう。」と仰る。

 うーん、そうか。嬉しさ半分、複雑さ半分である。カドサイラが完全奏功しているというわけではなく、肺の影はどれもゆっくりとはいえだんだん大きくなっている。けれど、それらが増大するスピードを抑えてくれているのは間違いなさそうだ。そして次の手に変えたところで、そのカードが必ず効くという保証はないということだ。

 すなわち、今のカドサイラが現状考えられる(少なくとも増悪のスピードを抑えてくれているという意味で)一番良い選択肢であるということ、つまりはまだ残っている複数のレジメン(ゼローダ+ハーセプチン、ハラヴェン+ハーセプチン、ジェムザール+ハーセプチン)があるにせよ、今以上に奏功する保証はないわけだ。逆に副作用だけ出て、奏功しないまま負け越して手を変えていかなければならないということも十分ありうるのだ。

 だからこそ、出来るだけ粘りたい。「では、目指せ、2年!ですね」と言ってみる。「そうですね、来年の2月で2年になりますね。行けるかもしれませんね。」と仰る。今の治療を継続ということになれば、次回と次々回の2回で年内の通院は終えることができる。診察室での検温は6度7分。

 「では、今日は従来通り治療しましょう。ランマークもありますね。」とのお答え。まあ今は自覚症状がそれほど出ていないし、自分としては体調が良いわけだから、このまま変更なしで行ければ万々歳だ。

 次回は3週間後の予約。勤労感謝の日の翌日だ。マーカーは測定するが、レントゲンは来月でよいでしょうとのこと。前回同様2種類の漢方とデノタスチュアブルを3週間分、ロキソニンも通常通り、ヒルドイドローション、パタノール点眼薬は次回頂けば間に合いそうなので、内服薬のみの処方。ご挨拶をして診察室を後にした。

 化学療法室へ移動し、待ち時間はいつものように夫やお友達に報告LINEやメールを打つ。20 分ほどしてKbさんから窓側のリクライニング椅子に案内される。
 席で態勢を整えると、ほどなくして、Kbさんがポートの針刺し。今日は殆ど痛まず、とてもラッキー。お礼を言う。

 10分ほどしてKrさんが「薬が届きました。」と見える。点滴をセットして頂き投与開始。生理食塩水で満たした後、カドサイラ(T-DM1)。順調に点滴も読書は進み、1時間半弱で無事終了する。

 終了時の血圧測定と抜針はKbさん。108-70、脈拍は60。抜く時も殆ど痛まず再び感謝の言葉。そして、「もし間違ったらごめんなさい・・・」と伺ったら、ビンゴ。Kbさんはおめでたとのこと。予定日は来年の5月だそうだ。ようやくつわりが終わって、と仰る。赤ちゃんの生命力を頂きたくてお腹を触らせて頂く。これでまた寿命が延びました、と笑顔で席を立った。

 看護師さんたちにご挨拶して化学療法室を後にする。今日は時間を見計らって自動支払機へ移動したが、早すぎたのか、まだ出来ていなかったので、再び待つこと10分ほど。採血と点滴・注射の3割負担、13万円強をカード支払い。

 外に出ると、なんとポツポツと雨が降り出している。いつもは傘を持っているのだけれど、今回は降らないという予報を信じて置いてきたのに・・・と濡れながら薬局へ移動。薬局はそれなりに混雑している。後からの方にそれほど抜かれることなく、30分ほどで番号を呼ばれた。「今回は点滴をされてきたのですか。」と訊かれ、「おかげさまで。CT結果で(腫瘍は)大きくはなっているのですが、とりあえず続行になりました。」とお答えする。2,000円弱の現金払い。

 今日も前泊のおかげでスムーズな流れだった。病院と薬局の滞在時間は合わせて5時間ほど。駅ビルでゆっくりランチを摂って本を読みながら帰路についた。
 2冊目は外山滋比古さんの「乱読のセレンディピティ」(扶桑社文庫)。何を隠そう私は乱読の極みなので、いつもなんとなく引け目を感じているのだけれど、それでいいんだよ、と言って頂けた感じで気分よく拝読した。読みやすく、あっという間に読破。

 最寄り駅に到着すると雨が降っていなかったのでほっとした。明るいうちに帰れたが、日差しがないので、なんだか暗い。それでも今日は頑張って夕食を作った。明日は文化の日でお休み。嬉しい。実家詣でや何やら用事はあるけれど、治療の翌日、少しゆっくり休めるのは本当に有難いことだ。
コメント
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