ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2019.10.30 採血レントゲン後腫瘍内科診察、パージェタ・ハーセプチン12クール目

2019-10-30 21:34:33 | 治療日記

 昨夜はほぼ定時に職場を出て、ボディバランスヨガのクラスに参加した。気温が低く、1日デスクワークをするとどうしても身体が凝り固まってしまう。股関節回りを重点的にアプローチするクラスで、すっかり温まり、気持ちよくたっぷり汗を流した。その後夫と合流して、駅前で夕食。お泊り荷物とヨガウェアを交換し、病院最寄り駅前の宿を目指す。

 車内で芦沢央さんの「バック・ステージ」(角川文庫)を読み始める。帯には「『まさか、こうきたか!』最注目作家の教学・痛快ミステリー! 幕が上がったら一気読み!」とあったが、なるほど序幕から惹き込まれる展開であった。

 本に没頭している間に駅に到着。この調子で最後まで読んでしまったら、明日の読み物が足りなくなるし、疲れも眠気もあり、チェックイン後は早々に入浴。お風呂上がりに飲もうと買いこんだペットボトルの蓋がどうやってみても開けられず。がっかりしてベッドへ。

 6時間近く眠って、お手洗いで目が覚めた。モーニングコールまであと1時間半ほどあるので、またウトウト。夫にモーニングラインをしようと思ったら、とんでもない情報が目に飛び込んできた。
「母からの留守電が入っていたのに今朝気づいた。"オレオレ詐欺のような電話があり、交番に行ってどうのこうの・・・"と話が長すぎて途中で留守電が切れてしまった」というもの。驚いて夫から今朝電話をかけてみたところ、被害に遭ったわけではないというが、詳細が不明。私からも電話をかけ直すことにした。

 通院前の忙しい朝にまたトホホなことである。普段、実家では電話は留守設定にして「知らない番号には出ない、こちらから名乗らない」等と書かれた貼り紙をしているのだけれど、1か月も自宅を留守にしていてそのあたりが甘くなっていたのだろう。こんなことでは心配で一人暮らし等させておけない、としこたま叱ると、母はシュンとするし、こちらも朝からすっかりエネルギーを消耗。痺れと痛みのある足をマッサージしながら足湯を済ませ、身支度をして階下のレストランへ。

 漢方2種を飲み、今朝もデニッシュとスープ、ジュースの定番朝食。電話の一件で、なんとなく食欲がない。食後もしっかり4種類の薬を飲み、部屋に戻り、新聞を読み、朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウト。
 外は雲一つない快晴。昨日の雨はどこへやらのいいお天気である。日中は気温も23度まで上がって過ごしやすいという。皮膚が弱くなっていることもあり、紫外線防止のために今も日傘のお世話になっている。

 今月2回目の通院だ。IDカードを通して、まずは採血の受付へ。7分待ちと出ていたが、私が番号を取るとその番号がすぐに電子掲示板に出て、すぐに採血室へ入れた。コートを脱ぎ、ストールを取り、エコバッグに入れて態勢を整えていると、何度もお世話になっている臨床検査技師のYさんから呼ばれる。今日はフル検査なので5本。ちょっとチクリとして問題なく終了。

 止血をしたままエスカレーターで2階に上がり、レントゲン受付へ。ここでも殆ど待たずに待合い廊下へ行くように言われる。本を開く暇もなく名前を呼ばれる。今日もブラトップと無地の薄手のニットだったので、そのまま撮影できるつもりでいたが、ニットは脱ぐように言われる。検査着は汚すこともないので、と辞退する。かつらを被っているので被りのニットの脱ぎ着は気が重かったのだが仕方ない。正面からと左側面からの2枚撮影して無事終了。

 ここまでで20分ほど。再び1階に降りて腫瘍内科の受付へ。月末だが、待合い椅子がそれほど埋まっていない。定位置は確保できなかったがすぐ後ろに荷物を置く。受付を済ませ、クラークの方に「毎度申し訳ないのですが・・・」とペットボトルを開けて頂く。本当に情けないほど老婆の如き握力なのである。

 昨夜の本の続きを読む。今日は第一幕からスタート。第二幕、幕間、第三幕、第四幕、終幕、カーテン・コールという構成だ。いや~生のお芝居など随分観ていないが、堪能した。解説は劇作家・演出家の成井豊さんが書いておられるが、これは「バックステージもの」と呼ばれるジャンルだそうな。

 7つの章の主人公はばらばらだが、2幕以降全ての章に登場するのが故・蜷川幸雄さんを彷彿とさせる演出家の芝居であり、この芝居の周辺で起きた7つの出来事が収められている。どの幕(章)も面白かったが、第二幕にはまんまと引っかかったし、第三幕の舞台俳優の心理描写も秀逸。ここでも故・樹木希林さんでは、と思わせる女優が登場する。マネージャーが自分と同年齢ということもあり、興味深く読んだ。ラストの小品では主人公2人のほっこりと明るい未来を感じさせられ、読後感も良かった。

 ということで、読書没頭により待ち時間は何の苦にもならず。本の区切りが良いところで採血から1時間ほど経過したので血圧測定に向かう。112-66、脈拍は76。
 10分ほどすると「中待合いへどうぞ」に番号が出る。1番目だ。荷物を抱えて中待合いへ移動。ほどなくして、先生が扉を開けて、「どうぞ」と呼んでくださった。
 
 ご挨拶をして席に座る。「さあ、どうでしたか。」と問われ、「母の手術後のこともあり多忙でしたが、相変わらず台風等で気圧の変動もあり、胸痛が続きロキソニンは今回も3度3度飲み続けています。それでも痛みが消えず、コデインを数回飲みました。下痢は相変わらずで、手足の痺れや痛みも軽減しません。痺れは腿の上まで、痛みも常時あり、時折突き刺すように痛いです。足裏は真っ赤でテカテカしており、手の爪の調子も悪いです。」とご報告。

 「やはり皮膚障害はありますね。」と「痺れや痛みがなかなかしつこいですね。」と前回と同じコメントである。診察室での検温は6度8分。
 「さて、採血は肝臓の数値も特に問題ないし、マーカーは微増ですが、横ばいと言える範囲内です。」とPC上のグラフを見せてくださる。痛みもあるし、ちょっと無理をしたので結果が悪いのではと心配したが、取り越し苦労だったようだ。

 「レントゲンも前回7月と比べて右下のあたり、ポートの裏のあたりが心持ち薄くなっているように見えます。ハラヴェンを止めてもまあ良い状態が維持できていると言えますね。」と予期せぬいいコメントが返ってきた。「骨の病変はレントゲンではわからないので、まあ急がないけれど年末か年明けにCTを撮りましょう。」とのことだった。 
 増悪かも、とちょっと身構えていたので、肩透かしを食った感じ。今年も次回3週間後、6週間後と2回(もしくは年末にCTでプラス1回)通えば通院納めである。有難いことだ。

 薬は、今回もロキソニンを毎食後3回ずつ。全ての薬を3週間分フルに出して頂いた。「痺れや痛みに漢方やビタミン剤がもう少し効いてくれると良いのですが、止めてしまうのは怖いですが、リリカやサインバルタに替えるのはちょっと・・・」と言うと「リリカほどの副作用がないものも出たようなので、それを試してみるのもありかもしれませんね。」とのこと。「ランマークは明らかに骨の病変が増悪しているのが画像上確認出来れば再開を考えるが、そうでなければ、あまり使いたくない。顎骨壊死等何が起きるかわからないので。」とのこと。やはりコデイン等で凌ぐしかなさようだ。 

 ご挨拶をして診察室を後にし、化学療法室へ入る。待合い椅子はお一人座っているだけ。
 少し待つと、Okさんから窓側の通路脇の椅子に案内される。かつらを外してケア帽子に替え、夫やお友達に報告LINE。リクライニングシートに足を伸ばして読書の続きに入る。
 刺針に見えたのは今回もKdさん。殆ど痛まずスッと入ってラッキー。
 その後15分ほどして薬が届く。2剤併用の治療12クール目。今日も点滴棒には2本の薬液パックと生理食塩水の小さなパック、シリンジ。点滴の順番もいつものとおりパージェタ、ハーセプチン、最後に生理食塩水である。

 2冊目は堀越英美さんの「女の子は本当にピンクが好きなのか」(河出文庫)。帯には「無意識の刷り込みに立ち向かう 生まれつき?それとも、社会がつくりだしたもの? ピンクが『女らしさ』『男らしさ』にもたらした功罪を、国内外の事例をたどり、徹底的に掘り下げた唯一無二の決定版」 とある。リカちゃん人形やらバービー人形やら、レゴにランドセルの色、リケジョの話・・・実に興味深く読んだ。うんうんと頷くもの、目から鱗の話、これまた堪能した。私自身は文学部出身ではないが、単行本未収録エッセイ「女の子が文学部に入るべきでない5つの理由」も楽しめた。

 始まる前にお手洗いに行かなかったせいか、点滴途中で席を立つ羽目になった。化学療法室内に1つしかない女性用・車いす用お手洗いが使用中マークのまま10分ほど。心配になって「大丈夫でしょうか?」とKdさんに訊くと、Kdさんがノックをするが返事がない。私もちょっと辛かったので、「空いていますからどうぞ」と言われて男性用・車いす用お手洗いをお借りする。それがなんとペーパーが全くなく、慌ててお願いする。冷や汗をかいてしまった。女性用お手洗いから出ていらしたのは高齢の方で、お腹の調子が悪かったようだ。
 
 最後の生理食塩水になったところで、Kwさんが血圧測定にみえる。終了時の血圧は104-79、脈拍は67。上と下の間隔が少し小さいような気もするが、問題なし。Kwさんが私の自宅近くに遊びにいらして、美味しいケーキ屋さんの話を嬉しそうにされた。うーん、自宅と職場の往復しかしていない私が行ったことのない場所である。スマホで調べて訊いてみたら、「そうそう、ここです!」と仰る。歩くにはちょっと遠そうなので今度夫に自転車でチョイと買ってきてもらおう。
 抜針もKdさん。衝撃も殆どなく、無事終了した。化学療法室に滞在した時間は3時間強。ほぼ普段通りの時間だ。ご挨拶して部屋を後にした
 
 会計へ移動すると珍しく空いている。受付も待たずに番号札を頂き、処方箋を薬局に送って待合い椅子に腰かけると、ほどなくして会計番号が出た。こんなにスムーズにお支払いまで出来たのは珍しい。今日は採血レントゲンが加わり3割負担のお支払いはカードで11万弱。

 病院を出ると、陽射しが暖かい。昨日の寒さに備えたいでたちだったが、荷物になるのでコートもストールもまとったところ、暑い。薬局に到着し、「病院内から処方箋を送りました。」と申告すると、「今準備していますので、お待ちください。」と番号札を渡された。なるほど、今日は病院から処方箋を送って20分ほどしか経っていない。いつも会計で1時間近く待つのに。「今日も全6種類3週間分ですね?」と確認され、現金でお支払い。本日の病院と薬局の滞在時間は合計で6時間弱。

 大荷物で駅に辿り着く。なんとなくお腹がもたれていたので、そのままJRに乗って乗換駅まで移動した。駅前のゆっくり出来るレストランでランチを摂り、本の残りを読んだ。

 乗換駅のスーパーで夜のお弁当等を調達し、さらに大荷物になった。私鉄に乗り換え、最寄り駅に帰り着く。さすがに歩く元気がなく、ご贔屓の会社のタクシーがいたので、迷わず乗車した。

 帰宅して生協のお届け品を取り入れ、母の留守電を聞き直す。朝電話で聴いた話を総合するに、やはり納得いかず心配なことがあったので、実家最寄りの交番に電話をかけてみた。昨日対応してくださった方の名前もわからないし、調べて折り返しますということだったが、対応してくださった方が非番で連絡がつかず、明日また連絡をすることになった。病院でも交番でも、辛抱強く高齢者の相手をする方たちには本当に頭が下がる。

 洗濯機を廻し、あれこれ片付けているうちに夫が帰宅した。
 明日は出張はないが、午後から会議である。週末からは霜月11月。早いものである。 
コメント
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