結婚記念日旅行を始めたのは何年前だったか・・・。今年は記念すべき30周年、真珠婚式である。真珠は6月生まれの私の誕生石でもある。ならば真珠の故郷への旅がいいなあと考えていた。そんな話を夏、研修中だった息子にしたところ、僕も行きたい!ということで、帰宅して早速ホテルを予約。今回は家族揃って3連休を過ごすことにした。
息子が小さかった頃、全国津々浦々のテーマパークを巡り、各地の特急に乗ることそのものが目的の旅を繰り返していた(若かったし、まだ病気にもなる前のこと。その後病を得てからは長く生きることは叶わないと思ったので、夫と息子で仲良く暮らしていってもらうために、2人旅を後押ししてきた。)。
この志摩スペイン村にも今から20年近く前、息子が保育園児だった時にビスタカーやら伊勢志摩ライナーやらACEやらに乗るために、そして遊園地で遊ぶために訪れたことがある。息子に訊けば当時のことは殆ど覚えていないとのことで、ホテルも「へえ、ここに泊まったんだ」ということだったが。
今回は夫と息子が頑張ってネットを駆使し、当時はまだなかった「しまかぜ」の個室や「伊勢志摩ライナー」のサロンカーの予約が叶った。パルケエスパーニャの開業に合わせて走行開始した伊勢志摩ライナーは25周年とのこと。早いものである。
その電車に乗るため、普段より1時間も早く起きて(まだ真っ暗!)、新幹線の駅に向かうことになった。息子とは名古屋で合流。ところが、出発の1時間程前、利用する私鉄が人身事故のため遅延中とのバッドニュース。やむなくJR乗換駅までタクシーで向かった。結果、渋滞もなくスイスイと10分ほどの所要時間で済み、予定したより1台早いJRに乗ることが出来た。土曜日のため席も難なく確保出来、予約した新幹線の発車30分前に到着してしまったが、20分早いのぞみ号に変更してもらえ、ロスタイムなく発車。
読みかけの文庫を読んでいる間に名古屋駅に到着。新大阪から乗車し、私達より1分早い名古屋駅到着だった息子と無事合流出来た。名古屋駅に降りたのは前回お伊勢参りに訪れた10年近く前以来か。
予約した伊勢志摩ライナーの発車まで30分。近鉄の駅に到着すると、息子がリュックから「2人に渡したいものがある」という。なんとお手製のカラー版・旅のしおりが出てきて、びっくり。昨夜仕事帰りにネットカフェで作成してくれたそうな。その題名がずばり、今日の記事の題名なのである。
駅には足湯列車も入線してきて、皆珍しそうに写真を撮っている。湯の山温泉駅まで冬季の週末のみ運行するという観光列車「つどい」である。
その観光列車を見送って、私達は予約した伊勢志摩ライナーに乗り込む。36席しかないサロンカーは明るい暖色の大きなソファーで、3人以上は4人のボックスシートを使えるようになっている。テーブルも大きく、実に快適である。2人は早速ビールで乾杯。私はお腹が心配で暖かいチャイをちびちびと啜る。
家を出てきたときには雲が厚く、いまいちのお天気だったのに、こちらは打って変わって青空のいいお天気だ。やはり晴れ女だな、と一人ほくそ笑む。刷毛でさっと描いたような美しい白い雲。他の車両より断然大きな窓から見る景色はとても開放的だ。何度も「空が綺麗!」と繰り返して言ってしまう。
途中お伊勢参りの乗車客が降りていく。続いて車窓一杯に広がる英虞湾の美しい海。息子は学生時代にお友達と鳥羽や松阪を旅しているので、お喋りしながらあれこれ教えてくれる。2時間ほど揺られたが、その長さを全く感じさせない快適な旅だった。定刻通り志摩スペイン村の入り口・鵜方駅に到着。20年近く前はこの駅からホテルに向かったのではなかったような・・・と言ったところ、やはりそうだった。覚えていないようで覚えているものである。
バスで宿泊するパーク隣接のホテルまで向かい、まずはチェックインの手続きと今日・明日の夕食の予約を済ませる。ロッカーに荷物を預け、パスポートを頂いていざホテル専用入り口からパークへ入園である。
今回の3連休が終わると、長期休園になるとのことであるが、信じられないくらいの人の入り。少ない! どのアトラクションも待ち時間などというものは存在せず、申し訳ないくらいのストレスフリー。とはいえ、閉園が17時ということで、今日遊べる時間は4時間ほどである。
息子は早速吊り下げ式ジェットコースターに走る。さすがに空中一回転どころか捻られて延々と逆さのまま引き回されるなんて、かつらが落ちたら洒落にならないし、夫も心臓麻痺でひっくり返ったら大変なので、息子一人にお任せする。こうした絶叫マシーンに一切待たずに乗れるなんて凄いよ、と息子は大はしゃぎである。まあ、二十歳を超えて両親と遊園地に来るとは思わなかったけれど、とのことだが。
絶叫系のアトラクションは敬遠して、小さなキッズ用コースターに乗ったり、カルーセルに乗ったり、すっかり童心に帰る。その後遅いランチを摂り、人心地つく。
お天気が良く、暖かいのが何より。夫は前回来たときに息子がびしょ濡れになって憮然としたスプラッシュコースターに付き合う。かつらを濡らしたくないし、私はご遠慮申し上げた。息子曰く、これに乗ったのは思い出した、とのこと。
その後も皆でレーザー銃を撃ってみたり、空飛ぶ船やボートに乗ってみたり。室内コースターだから大丈夫だよ、と言われて乗ったものは結構横に揺られ、かなり怖かった。「何か落としても取ることは出来ません。」と脅され、思わず頭を押さえて絶叫する羽目になった。息子にはアラ還の女性とは思えない高音だったと言われたが、一応メゾソプラノですから!
園内はスペインの各地方を模した広場や通りがあり、インスタ映えする景色が沢山。キャラクターグリーティング等もあったけれど、音と光のショーやパレード等は年末年始限定だったようで、残念ながら今回はなし。
夫が「疲れた、お茶したい・・・」と言うがあと1時間ほどで閉園だから、と頑張ってもらう。息子は最終的に全てのコースターを制覇し、最初に乗った吊り下げ式のコースターには閉園間際2回連続でチャレンジしていた。23歳、怖い物なしである。前回は身長が足りなくて乗れなかったものも沢山だったから、リベンジというところか。
夫がお茶をしている間、私は気球型ライドに一人で乗った。高いところから見た夕焼けが真っ赤でとても美しかった。明日も晴れるだろう。
ホテルに戻って、キーをもらって部屋に入って、皆でお茶で一服。窓の外にはピレネー山脈をイメージした山々に分け入るコースターのレールと、空 にはまん丸な大きなお月様。夫はあっという間に鼾をかいている。お疲れ様である。
夕食はパエリヤや伊勢海老や鮑など魚介類をふんだんに使ったスペイン料理フルコースに舌鼓。2人はワインやスペインビールでご機嫌さんである。
満腹になったところで、これから“ひまわりの湯”というネーミングの天然温泉で手足を伸ばしてくることになっている。
明日は一日、今回のお助けマン、“デジタルフリーパス”というお得な切符を駆使して、楽しむ予定である。