散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
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卑劣漢から身を守るためのささやかな注釈

2017-01-06 06:41:21 | 日記

2017年1月6日(金)

 僕は1986年の春の国家試験に合格して医者になった。合格発表に先立って母校の精神科研修医としての仕事が始まっており、それから30年10か月が経つ。この間、米国留学中の3年間を除き、常勤の時代は週4日半の日勤プラス休日当直、研究・教育職に移ってからも平均して週2日ほどの診療業務を欠かしたことは一度もない。(扁桃腺炎で40℃近い熱を出して休診したことが30年間に二回、もちろん盆正月の休暇などは別である。留学先はミズーリ州ワシントン大学の精神科で、留学中も精神医学漬けだった。さらに滞在中は、セントルイス市周辺に在住する邦人のメンタルヘルス相談をかなり頻繁に引き受けたことを付記しておく。)

 「A君のクリニックを月一回程度お手伝いしている」という記載に飛びついて、「月一回のお手伝い程度の関わりが石丸の精神科医療実践の全て」と曲解したお利口さんがおられたようだが、正確なところを理解いただけたでしょうか。毎週2日のルーティーンの他に月一回という意味だったんだが、人のスケジュールを個人ブログなんぞから覗き見しようとするから、そういう間違いが起きるのだ。だいいちそんなもの、裁判資料に使えるんですか?プロとして恥ずかしくありませんか?

  ついでに言うなら 「お手伝い」とは、内科小児科を標榜して地域の健康を支えるため日夜奮闘するA君に敬意を評し、メンタルヘルス外来という形での側面援助を謙遜しつつ述べたものであって、外来診療の質が「お手伝い」程度のものだという意味ではない。当たり前だ、医者を/患者をなめないでもらいたい。診察室の中にどれほど厳しい人生の闘いが持ち込まれるものか、お利口さんには想像もつかないだろう。だいいち僕の診療ぶりが「お手伝い」程度のものだったら、A君迷わず別の精神科医にすげ替えるに決まっている。雇っている方がたまらないもの。

  「週平均2日では本職とは言えない」という御批判もありましょうか。これはまあ、「やり方次第」と答えるほかはない。現に患者さんと向き合っている時間だけを問うて2日で切るなら、研究に手を染めたり管理的な仕事を受けもったりする立場の医師らは、大学医学部の教授をはじめ軒並み臨床医失格になりかねない。要は診療以外の時間をどう勉強に使うかということに尽き、逆に朝から晩まで診察室で頑張っていたところで勉強を怠ったら失格するのは簡単である。

  だいたいこんなところかな。そうそう、東京都内の某特別養護老人ホームでのべ16年間にわたり、嘱託医として月二回の診療を行ったこともつけ加えておこうか。お利口さんの一番の関心事は、認知症のある高齢者に対する僕の臨床経験だったようだから。

 ***

  ブログは誰が見るか分からないものなので、あけすけに書くことに不安がないではなく、それが現実になった形である。それでもFacebookなどではなくこの方式を続けるのは、桜美林や放送大学の学生・院生やOB・OG、懐かしい新旧の友人達、そして患者さんや御家族の目に広く触れることを期待するからだ。だからこそ診察場面のこぼれ話などは、書きたいけれど極力控えている ~ うっかり誰に迷惑をかけないとも限らないからね。

  誰でも歓迎だがただひとつ、人の揚げ足を取って引きずり倒すことを目的に、臭いものを嗅ぎ回る手合いに用意する場所も素材もここにはない。件のお利口さん、あなた招かれていませんよ。早々にお引取りのうえ、二度とお越しにならないよう願います。

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