2017年1月10日(火)
Hiromi Ohmuro 様
心強いコメントをありがとうございます。三宅なほみ先生の授業と出会って「虜になった」とのこと、良かったですね。残念ながら私はお目にかかる機会がなく、平成27年5月御逝去との記載を確認して無念の思いを新たにしています。御夫君の三宅先生とは校務で御一緒することも多く、穏やかなお人柄からお二方の睦まじい日々がありありと偲ばれます。なほみ先生の足跡はインターネット上でも多数確認できるようですね。「研究物語」などとても面白く、インタビュー画面の笑顔が魅力的です。(http://coref.u-tokyo.ac.jp/nmiyake/others/story/)
谷川俊太郎さんは有名すぎて、あまりよく知らないのです。教えてくださった詩も初耳でした。『ぼくは ぼく』(童話屋)所収の『みえないあみ』ですね。すっと入ってくる気もちのよい文章です。手前味噌で恐縮ですが、うつ病が増加する背景についていつもお話しすること ~ 人は本来、多様なネットワークの結び目として存在してきたのに、近年の日本の社会構造の激変のために、孤立した砂粒として生きることを余儀なくされている。砂山に風が吹きつければ砂粒は吹き飛ばされる、吹き飛ばされて行き場がなく、しょうことなしに精神科・診療内科の外来を訪れる ~ をついつい重ねてしまいます。どこを切っても出てくるのは同じ金太郎さんですが、無粋な散文と珠玉の詩の違いは歴然たるものです。
知らなかったことをひとつ、あなたに教わりました。ありがとうございました。
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そらにかかるみえないあみ
そのあみのめのひとつがあなた
ひとつがわたし しっていることを
あなたにおしえる しらないことを
あなたにおそわる いいきぶん
じめんのしたのからみあうねっこ
そこにいるあなたとわたし
そらのうえでじめんのしたで
わたしとあなたはむすばれている
こどもとおとなも てきもみかたも
だれもひとりではいきていけない
(『みえないあみ』 谷川俊太郎)
Ω