散日拾遺

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ここはどこ? / 宿で見る映画と父子葛藤のことなど

2018-04-21 00:10:20 | 日記

2018年4月20日(金)

 午後を休診にしてやってきました、さてここはどこ?

 ヒント1 

 ヒント2

 ヒント3

 宿でメールを開けたら、半日の間に5件ほどの便りや知らせが届いていて、どれも3分や5分で返信できないものばかりである。そのうちの一つは留守宅から、父の親友の他界を知らせるものだった。Tさんというこの温厚な紳士は十代半ばで幼年学校に入ったが、結核に罹って退校を余儀なくされた。病が癒えて後は人並み以上の健康を維持し、つい先日まで現役の医師として立派な働きをしておられたのである。数ヶ月の患いであっけなく召されたのは見事とも幸せとも言えるが、これで父は親しい友人をほぼ全て見送った。老いを巧みにあしらいつつ蜜柑類の世話に余念なく、その甲斐あって今春はここ数年に例がないほどの豊作だが、送る相手がなくてはつまらない。僕の友人のうち酸味を苦にしない面々を選んで、にわかに大動員である。

 家であまり見ないテレビを、旅先ではなぜか好んで見てしまう。BSで『ウォール街』をやっていた。話題になったのがつい数年前のように思ったが、1987年の作品と知って苦笑した。道理で作中のアメリカ人がむやみにタバコを吸っている。ここにも当然ながら父子葛藤が出てくるが、主人公とその父親を演じるのが実際にも父子(マーティン・シーンとチャーリー・シーン)だというから、念が入っている。敵役のゴードンと主人公バッドの関係がこれまた一種の父子転移で、一人の息子を二人の「父親」が奪い合う図と考えれば、カラマーゾフからスター・ウォーズまでの夥しい作品群が行列作って顔を出すだろう。このモチーフなくして、いかなるストーリーも書けないかのようである。

 そういえば悪役のゴードンを演じきったマイケル・ダグラス、顎の線や怒りの表現などからひょっとしてと思ったら、案の定あのカーク・ダグラスの息子だった。父親はもうこの世にいまいと思ったら、失礼しました、嬉しくも健在のようである。1916年生まれの満101歳!『炎の人ゴッホ』『バイキング』『スパルタカス』など今も印象に鮮やかだが、いちばん切なく思い出されるのは邦題『暗殺』(何とセンスのない・・・)、元々は ”Brotherhood”と題したものである(https://movie.walkerplus.com/mv635/)。

 この人は何と帝制ロシアからの移民の子だそうだ。20世紀の長さを思う。幼年期はイジー・デムスキーとして育ったとある。日本への関心強く、64年の来日時には切望して三船敏郎を訪ねているそうだ。

(Wikipedia より拝借)

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