散日拾遺

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やけぼっくいと関先生

2014-07-15 07:19:26 | 日記
2014年7月15日(火)

 「地獄の釜の蓋」だけではない、「焼けぼっくい」が通じないと勝沼さんのコメント。
 もうだいぶ前だが、老人ホームを回診中かつてイギリス人の船長さんと結婚していた女性の居室で若い頃の写真を拝見し、「バタ臭い美人だねえ」と言ったら、「は?何ですか?」と相談員に聞き返された。
 麻酔科や救急で使う意識障害の簡易スケールに、本邦で考案された「三々九度法」というのがあるんだが、10年ほど前の桜美林の学部でも院でも「三々九度」が何だかわかるものは、若い学生にはほぼ皆無だった。
 これも数年前から、正月の準備でお屠蘇を作りたいと思っても、薬局でも食料品店でも店員が「屠蘇(散)」という言葉を知らない。
 等々

 いたずらに嘆こうとは思わない、引き換えに現れる若者言葉には、しばしば侮るべからざるものがある。ただ、これまで使われてきた言葉や物を捨てるのももったいない話だ。
 古い小じゃれた言葉を知っている者が大いに使ったらいい。

***

 嬉しくも、存じあげない方からコメントをいただいた。再記。

>『懐かしいです』 by 「うさこ」さん

> 私も愛媛県出身で、石丸さんのひとつ先輩になります。理系でしたが。

> 関楠生先生には、駒場の教養課程でドイツ語を教わりました。
> テキストは、シャ. ミッソー『影をなくした男』だったような。
> 「ゲーテ」の正しい読み方、「喉彦のR」など、強烈な思い出があります。

> なんとなく面白そうな、ちょっと変わった感じの先生だとは思っていましたが、
> 今になってみれば、あまり熱心に勉強しなかったのが悔やまれます。
> これから、先生の翻訳を読んでみようと思います。

> あれほどの大先生ですが、新聞にほんの小さくしか載っていなくて、残念に感じていました。こちらのブログで、先生を知る方とお会いできて、本当に良かったです。
有難うございました。
> どうぞ、これからもお元気でご活躍くださいませ。

 こちらこそ、ありがとうございます。懐かしい故人の思い出を共有できることは大きな幸せです。
『影をなくした男』は、岩波文庫に翻訳が入っているのですね、関先生訳ではありませんが。表題からして面白そう、近々ぜひ読んでみます・・・さっそく Amazon で注文してしまいました!

 Adelbert von Chamisso こと Louis Charles Adélaïde de Chamisso de Boncourt(1781‐1838)。 フランス出身のドイツの詩人で植物学者。現在ではドイツ語で文学作品を残したロマン派文学者として著名。(Wiki)

 私たちの方は、前期にドイツ語の基礎を一通り教わり、後期には"Der kleine Schornsteinfeger"『小さな煙突掃除屋さん』という素敵な現代童話を読んだのですが、残念ながらこの作品や著者の情報がインターネットで出てきません。1988年に関先生御自身が翻訳を出されたようですけれど、これも絶版と思われます。
 私は物を捨てられない性分なので、探せばきっと出てくるでしょう。そしたらまたブログに載せますので、うさこさん、また御覧になってください。

***

 うさこさんは「ゲーテ」の正しい読み方や「喉彦のR」を思い出に挙げられる。僕はこれらについての記憶がなく(ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い、という古い川柳が思い出される)、このあたりも面白い。
 ついでに entgegengegangen と並んで忘れられない関先生の爆笑ネタを書いておきたいのだが、とっても上品という話ではないので、うさこさんが二度と訪問してくださらないのではないかと少々心配。

 関先生がドイツ滞在中のこと、友人のA氏が遊びに来た。ドイツ語は皆目わからないA氏を連れてレストランへ出かけたが、先生は早々にトイレに立っていかれた。

 そこへウェイターがやって来て、
"schon bestellt?"

 英語に逐語変換すれば "already ordered?" 「注文はお済みですか?」ということだが、音を転記すると
 「ション・ベシュテルト?」という具合に聞こえる。
 A氏、喜んで
 「そうそう、よくわかったね、あんた日本語できるの?」

 

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