散日拾遺

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歌と句と

2019-05-10 07:26:52 | 日記
2019年5月10日(金)
 
君とゐしなにごともなき明け暮れを珠玉のごとくいま思ひをり
 
 学士会会報の2016年の号、短歌会詠草欄に表れた瀬沼勤という人の歌、これに赤鉛筆でハイライトが施されたのは、たぶんつい最近である。

大声で呼べど返なく家静か

 夏みかんへの返礼をめぐるやりとりの中に、こんな句が書かれていたと知人が知らせてくれた。
 地の会話や日々の振る舞いでは明るくしていても、90代で寡夫となった心のうちが朗らかであるはずがない。それを歌句が汲みあげもし、知らせもする。

 「力をも入れずして、天土を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、夫婦の中をも和らげ、猛きもののふの心をも慰むるは歌なり」と、紀貫之が古今の序に書きたりしも、理りなりと覚えたり。
『太平記』二巻2 「為明卿歌の事」
Ω
 

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