2015年9月30日(水)
被爆二世さんからのコメント、数日前のブログに対してなので、目に留まらないかと思い再掲する。冒頭で empathy と sympathy に関する件を本にするよう、激励をいただいた。しかしコメントの中心は下記である。
北御門さんのことは知らなかった。トルストイに傾倒し、自身も農民として生活しながら創作にうちこんだ作家があったと思ったが、これはまた別の人だったかな・・・いや、この人のようだ。熊本の人とある。笠智衆を思わせるいがぐり頭で田の仕事に励む姿をTVで見たが、確か熊本の訛りがあったように記憶する。
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トルストイの「イワンのバカ」の翻訳者、北御門二郎さんの生き方を描いた
「北御門二郎 魂の自由を求めて: トルストイに魅せられた良心的兵役拒否者 」ぶな 葉一著
という本を読みました。
北御門二郎さんは、トルストイに影響を受け、人を殺すくらいなら、殺される方がましだと、処刑を覚悟で兵役を拒否し続けたとそうです。
私は、終戦当時14歳だった母から
「原爆で亡くなった叔母さんは、勉強が好きだったのに、国民学校で勉強できずに、学徒動員されて兵器工場で働かされていた。そこで、叔母さんは被爆したと思うけど、探しに行っても、みんな黒焦げになってしまって見つけることができなかった」
と、聞かされました。
あの当時、北御門二郎さんが学徒動員も出兵も拒み続けることが可能だった影には、当時の警察官や村長らの北御門さんへの共感があったかららしいです。北御門二郎さんが、これを読んで不戦の想いを募らせたという「イワンのバカ」、wikiから引用します。
昔ある国に、軍人のセミョーン、布袋腹のタラース、ばかのイワンと、彼らの妹で?(おし)のマルタの4兄弟がいた。
ある日、都会へ出ていた兄たちが実家に戻ってきて「生活に金がかかって困っているので、財産を分けてほしい」と父親に言った。彼らの親不孝ぶりに憤慨している父親がイワンにそのことを言うと、ばかのイワンは「どうぞ、みんな二人に分けてお上げなさい」というので父親はその通りにした。
3人の間に諍いが起きるとねらっていた悪魔は何も起こらなかったのに腹を立て、3匹の小悪魔を使って、3人の兄弟にちょっかいを出す。権力欲の権化であるセミョーンと金銭欲の象徴のようなタラースは小悪魔たちに酷い目に合わされるが、ばかのイワンだけは、いくら悪魔が痛めても屈服せず、小悪魔たちを捕まえてしまう。小悪魔たちは、一振りすると兵隊がいくらでも出る魔法の穂や揉むと金貨がいくらでも出る魔法の葉、どんな病気にも効く木の根を出して助けを求める。イワンが小悪魔を逃がしてやるとき、「イエス様がお前にお恵みをくださるように」と言ったので、それ以来、小悪魔は地中深く入り、二度と出てこなかった。
イワンは手に入れた宝で、それで戦争をしたり贅沢をしたりするわけではなく、兵隊には踊らせたり唄わせたりして楽しみ、金貨は女や子供にアクセサリーや玩具として与えてしまう。無一文になった兄たちがイワンの所にかえってくると、イワンは喜んで養ってやったが、兄嫁たちには「こんな百姓家には住めない」と言われるので、イワンは兄たちの住む小屋を造った。兄たちはイワンが持っている兵隊や金貨を見て「それがあれば今までの失敗を取り戻せる」と考え、イワンは兄たちに要求されて兵隊や金貨を渡してやる。兄たちはそれを元手にして、やがて王様になった。
イワンは住んでいる国の王女が難病になったとき、小悪魔からもらった木の根で助けたので、王女の婿になって王様になった。しかし「体を動かさないのは性に合わない」ので、ただ人民の先頭に立って以前と同じく畑仕事をした。イワンの妻は夫を愛していたので、マルタに畑仕事を習って夫を手伝うようになった。イワンの王国の掟は「働いて手に胼胝(たこ)がある者だけ、食べる権利がある。手に胼胝のないものは、そのお余りを食べよ」と言うことだけだった。
ある日、小悪魔を倒された大悪魔は、人間に化けて兄弟たちの所にやってくる。セミョーンは将軍に化けた悪魔に騙されて戦争をして、タラースは商人に化けた悪魔に騙されて財産を巻き上げられて、再び無一文になる。最後に大悪魔はイワンを破滅させるために将軍に化けて軍隊を持つように仕向けるが、イワンの国では人民は皆ばかで、ただ働くだけなので悪魔に騙されない。今度は商人に化けて金貨をばらまくが、イワンの国ではみんな衣食住は満ち足りており、金を見ても誰も欲しがらない。そればかりか、悪魔は金で家を建てることができず、食べ物を買えないので残り物しか食べられず、逆に困窮して行く。
しまいに悪魔は「手で働くより、頭を使って働けば楽をして儲けることができる」と王や人民に演説するが、誰も悪魔を相手にしなかった。その日も悪魔は、高い櫓の上で、頭で働くことの意義を演説していたが、とうとう力尽きて、頭でとんとんと梯子を一段一段たたきながら地上に落ちた。ばかのイワンはそれを見て、「頭で働くとは、このことか。これでは頭に胼胝よりも大きな瘤ができるだろう。どんな仕事ができたか、見てやろう」と悪魔の所にやってくるが、ただ地が裂けて、悪魔は穴に吸い込まれてしまっただけだった。
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