千島列島のウルップ島とかシムシル島あたりから端を発し、太平洋南海上をググーっと反り返りながら伸び沖縄あたりまで続く、長い長い梅雨前線。こいつが北に寄ると雨が降り、南に下がると梅雨の晴れ間となるけれど、ちょうどこの気圧配置ではあまり風が吹かず海も穏やかになる。
昨日までの二、三日これほど穏やかな海況はそうそうないって感じで、緩やかで小さなうねりが一日中カラダをメロウに包んでくれる、梅雨の晴れ間の素晴らしいツアー日和だった。西日を反射する海面に顔を向けながらカヤック上で目を閉じると、まぶたを透かしてまで海面の光の粒がキラキラきらめく。そしてそのまま目を閉じっぱなしにして、波の音と潮風をより意識して味わいつつしばらく眠る。
黒潮の乗って旅するクジラの見る夢の、夢を見た。
