プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

シンクロナイズド・シーカヤッキング

2010-05-24 00:32:16 | アート・文化
Andy

 意外と誰も言わないことだけれど、海のリズムと一体化できる舟・シーカヤックで一日中海に揺られたあと聴く音楽は、普段より何倍にも増して心と身体の奥深くに染みわたってくる。身体の芯にしばらく残り続ける海のリズムと、音楽のうねるグルーヴとがシンクロする感覚とでもいうか。もうぼくは何年も繰り返し言い続けてて登録商標すら取りたいフレーズなんだけど、そう、シーカヤックって特別に音楽的な乗り物なんだよ。

 音楽はいつもいろいろと浴びるように聴きまくっているが、
 最近よく聴いてるCD2つ。

 上のCDジャケット写真は、中米・ベリーズの「アンディ・パラシオ&ザ・ガリフーナ・コレクティヴ」ってグループの「ワティーナ」って作品。
 ベリーズ?? あんまり聞かない国だよねえ。
 1981年に独立した新興国で、大昔にはマヤ文明でも栄えたベリーズには「ガリフーナ人」と呼ばれる少数民族がいる。1653年頃にアフリカからの奴隷船がカリブ海で座礁し海に投げ出されて助かった人たちは、流れ着いた島々に住み始めた。やがて世代を重ねるごとに先住のアラワク人などと混血を重ねていったが、その混血系の人たちは「ガリフーナ人」と呼ばれた。それがルーツだ。
 現在、彼らの集落はグアテマラ、ホンジュラス、ニカラグアなどに分布し約60万人ほどいるらしいけれど、なかでもベリーズに一番多いようだ。で、彼らの言語「ガリフーナ語」は、南北アメリカ大陸において生き残った唯一のアフリカ系言語だと言われているけれど、1981年のベリーズ独立の時期あたりにガリフーナ人たちが自分たちの言語や文化に対する誇りをもって「プンタ・ロック」という音楽を生み出した。アフロ色濃いガリフーナ文化に根差しつつ、ロックやレゲエなど現代ポップ音楽も普通に愛好する若い世代から生まれたものだった。
 そしてこのアンディ・パラシオさんはその代表的アーティストなわけ。
 
 聴いてみるとなかなかこの音楽、アフロ系の割に地味なんだけど、「島」とか「半島」とかを想わせる独特の哀愁があって、いいんだよねえ。以前このブログでも触れさせていただいたセネガル沖の島国「カーポ・ヴェルテ」音楽の哀愁感にも、通じるものがある。
 ユーチューブで参考までにチェックを。
 http://www.youtube.com/watch?v=nt6oOzyG9ec&feature=related
 ちなみに前述したカーボ・ヴェルテとベリーズは、いずれもカヤックトリップ的にも興味がある国なんだけど、ベリーズは下記のような国だ。
 http://www.belize.jp/seizi.html

 で、もうひとつ、下の写真はインドのタブラ奏者/エレクトリック音楽家のカーシュ・カーレイと、ラヴィ・シャンカールの娘であるシタール奏者、アヌーシュカ・シャンカールとのコラボ・アルバムである「水の旅」という作品のCDジャケット。
 これがまた、聴けば聴きこむほど美しい。
 ユーチューブの参考としてはこちら。
 http://www.youtube.com/watch?v=QUcVRAA4m8Q 
 特に後半がすごくかっこいい曲。

 なお、彼らの音楽も、インド古典を完璧にマスターしつつ、現代テクノロジーを自然に使いこなしていてすごく聴きやすい。
 カーシュ・カーレイ1974年生まれ。
 アヌーシュカ・シャンカール1981年生まれ。
 これくらいの世代になると、古典とテクノロジーを頑張って「融合する」、というより、そもそも両方が自分の中に存在するので融合もへったくれもなく、それの共存がごく自然なスタイルなんだろう。そこが面白い。

 で、ちょっと飛躍するけれど、シーカヤックなんて追求してると、ものすっごい古い日本のアニミズム的なフィーリングが皮膚感覚として分かるところがある。一方、現代のテクノロジー社会の感覚も現代人として普通に備わっている。それがジレンマでもあると同時に、そこに、こだわりを持ちたい面白みがある。
 だからこそ上記のようなミュージックが心と身体にしみ込んでくるってわけ。
 いわゆるひとつの「プラネット感覚」。

Anu


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