さて、ゴールデンウィークも過ぎ、
新緑もますますその勢いが増してきた初夏ですが、
風の中にも緑の香りが濃密に漂い、
ひときわ生命力が感じられる今日この頃です。
紀伊半島はどっちかというと、桜よりも、
この新緑から梅雨にかけての若々しい緑の生命力の横溢に、
「風物詩」的な、
特筆するものがあると思いますね。
陸を歩いていてももちろんそうなのですが、
やはりシーカヤックという鋭敏な乗り物に乗ると、
さらに微細な初夏の鼓動を、
全身で味わうことができます。
和歌山の海岸線は、岬一つ南に移動するごとに、
黒潮の息吹が濃く感じられ始めるのですが、
特にこの時期は、
黒潮にはぐくまれた植物の生命力と相まって、
よりその気配を肌身で実感させられる季節。
「黒潮の息吹」ってやつは、
ただ海辺をドライヴしただけではわからないし、
陸を歩いているだけでもあまり実感が湧かない、
海に出でて見てこそすごくよくわかるものなのですが、
特にこの時期はそれが顕著になる。
ってことは、シーカヤックという乗り物の実力がよりよく映える
季節ともいえます。
ぼくは国内外のあちこちの海を旅し
ホームグラウンドの紀州の海に帰ってくるたびに、
いつしか、
「やはり黒潮独特の感覚ってあるなあ」という、
実感を覚えるようになりました。
そしてシーカヤックツアーなどで何千回と紀州の海を漕ぐうちに、
「絶対音感」ならぬ、「絶対黒潮感」みたいなものが、
自分の中に芽生えてきたような気すらしています。
同じ紀伊半島でも、
場所ごとに存在する、独特の空気感があるのです。
ちなみに黒潮感覚って、スケール大きくて、おおらかで、
広い世界とつながっていて、
生命感にあふれてて、すごくいいもんなんだ。
たぶんぼくだけじゃなく、
古来紀州の海民はそういうことを意識していただろうと思う。
たとえば熊野三山のひとつ、新宮の「速玉大社」って神社の、
速玉とは=黒潮のスピリットのことだと言われるが、
まあ、海のリズムと同化するように生きてた古来の人々は、
ちゃんとわかってたんだろうな。
ちなみにうちのオープンしたカフェ、
「The 7th Sense Cafe」の7th sense とは、
そういう感覚のことも指しています。
目に見えない、だけど第六感ではなく、
五感で感じられるリッチな自然感覚。
黒潮フィーリング、
その輪郭がくっきりした和歌山の海岸線ってやっぱりいいなあと思う。
みんな、もっと、和歌山の海に出てみようぜ。