一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2265  七度五分咽痛かりし春の風邪  雲水  

2022年04月02日 | 

 2月の句会の前日、熱っぽいので体温を計ったら7度5分あった。万一新型コロナだったら、皆さんに迷惑をかけるので急遽中止にし、郵便、メール、Faxによる通信句会に変更した。

 保健所の指示に従い発熱の3日後、咽は痛かったが熱は既に平熱に下がっていたが、指定病院の発熱外来で、30分で結果が分かる抗原検査を受けた。陽性だった。

 厚労省の指示とやらで、抗原検査で陽性になった場合、PCR検査はしない、という。抗原検査陽性の場合の擬陽性(陽性ではない)の確率は、1/3だという。つまり私は、1/3の確率で新型コロナではなかったかもしれないのだ。当然、オミクロン株かどうかも分からない。

 発熱してから10日間、感染者として自宅待機するよう指示された。保健所の保健師、病院の事務員、医師、薬局の薬剤師さんなどから毎日調査の電話があった。咽の痛みは2.3日で治り、熱も平熱に戻った。

 その後、県から大きな段ボールに、10日分のトイレットペーパー、ティッシュペーパー、アルコール類、パルスオキシメーター、食料品などが送られてきた。外出できないからだろう。電子レンジで温める御飯、カップラーメンやレトルトの粥・カレー・中華丼・スパゲティの具材などである。

 私は、ワクチンを打っていない。しかし、不快感も後遺症もないし全くいつもと変わらない。風邪が新型コロナだとしたら、私は自然免疫を得たのかもしれない。

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2264  クシャクシャが目クシャ鼻クシャ春来たる  光子  

2022年04月01日 | 

  この句、顔がクシャクシャのお年寄りが、スギ花粉症で目も鼻もクシャクシャなのだ。実に可笑しい。私も若い頃、ひどい花粉症になったが、年と共にいつのまにか治ってしまった。過敏症から鈍感症になって、免疫力が下がったからかもしれない。お年寄りの花粉症、体力がないだけに気の毒でならない。そういえばこの作者、繰り返しをうまく使った句が、前にもあった。昨年の12月の

一人居のチャチャチャのチャッと大掃除    光子

この二句、同じパターンの句だから、作者に専用特許権をあげたい気分である。

薹の立った「蕗の薹」

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2263  第307回 岩戸句会 3月

2022年03月27日 | 岩戸句会

ホワイトデー駅階段を急ぎ足       光子

クシャクシャが目クシャ鼻クシャ春来たる

 

珈琲の膨満雪崩注意報          さくら

彼岸桜見知らぬ人と立ち止まり

 

蓮華田や湿りて遊ぶ少女らは       薪

葦の角大気吸い込む鯉の口

 

木の芽風鉢植え椿名札消え        豊春

ため口のナースの肩へ朧月

 

揺するなら陽のある時に春鯰       鯨児

春愁ひ茶殻を撒きてひと掃きし 

 

さようなら握る手強き春の雨       沙会

泣きべそが袴姿で卒業す

 

いくつもの雲をくぐりて鳥帰る      凛

カーテンにワルツのやうな春の風

 

オードリーヘップバーンや春の夢     炎火

ミサイルに吹っ飛ばされた花見かな

 

鳥集う彼岸桜へ夕陽射し         イヨ

一日ごと色増すつぼみ桜かな

 

春の海日の出を迎え万物流転       黄玉

初音とも一日始まりワクワクす

 

春光となり翡翠の番翔く         雲水

巣籠りや春子の無垢の白き襞

オオアラセイトウ(別名 諸葛菜、紫花菜、花大根)

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2262  白菜をメリメリと割り厨事  さくら  

2022年03月22日 | 

  この句は、白菜を裂く時に発する音を擬音語「メリメリ」と表現することによって、説得に成功している。作者のもう一句

ザリザリと我先潰す霜柱  さくら

 人が靴で、霜柱が踏み潰される時に出る音を、擬音語「ザリザり」と表現して成功している。経験者なら誰でも分かる適切な表現が高得点の理由だ。

➀人や物の動き、➁音や声、③人の感覚や気持ちを表現する言葉を、擬態語、擬音語、擬声語などという。

➀ぐずぐずしている、ころころ転がる、➁ざあざあ降る、げらげら笑う、③いらいらしている、ぼんやりしている・・・などである。フランス語では、オノマトペともいう。

 「ホーホケキョ」「ワンワン」なども一種の擬音語で、日本に育つとそう聞こえてしまうから実に不思議である。

ハコベ(繁縷)

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2261   第306回 2月 岩戸句会 

2022年03月16日 | 岩戸句会

翁逝く春耕の鍬壁に立つ        豊春

辻地蔵毛糸マフラー布マスク

 

ザリザリと我先潰す霜柱       さくら

白菜をメリメリと割り厨事

 

大福の中の苺の薄あかり        凛

目覚めゆく大海原に風光る

 

タンポポのソーラーパネル発電所   炎火

枯れた草枯れない草もありにけり

 

丸窓から「おばんです」と春満月    鯨児

ひらひらと朽ちゆく国に春の雪

 

春の海密状態の魚元気         鞠

お籠りの三回接種春寒し

 

あれやこれ話半分狸汁         沙会

黄砂舞ふ世界の果ての果てまでも

 

逢えました二夜続いて春の夢      光子

風光る伊豆稲取の吊るし雛

 

春めくや若いつもりの服を買う     稱子

まんさくや義父に感謝をして足りず 

 

紅白の梅てんでんに膨らみし      裕

梅仰ぎ犬の散歩は千歳川

 

梢揺るさえずる小鳥東風の波      イヨ

静かなる巷の夕を春の雨

 

春立つと龍頭雲に乗り日の出      黄玉

佳2➀春の月レースドレスを着て踊り

 

独り居に息吹いただく蕗の薹      洋子

春隣海見入るだけの旅気分

 

単身赴任の赤鬼戻り豆撒けり      薪

霊山の馬酔木の蕾蠢けり

 

冬日ざし山王草堂野良の猫       余白

凍て路に足を取られて空を見た

 

二月尽何か切らんと刃物研ぐ      雲水

焚火からこの世に戻る半ひねり

ウメ(梅)

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2260  翁逝く春耕の鍬壁に立つ  豊春

2022年03月14日 | 

 ある時、岩戸窯に八十代の妙齢の女性が現れました。「私、三十五才で夫を亡くし、二人の息子を必死で育てました。お陰様で息子たちは、私から独立して家庭を持ち、問題なく立派に生活しております。私もそろそろあの世が近づいております。あの世に行ったとき夫は、こんなおばあさんになってしまった私のことが分かりますでしょうか。」

 初対面の女性から、こう質問された時、私に答える術はありませんでした。初対面の私に、突然こんな大問題を質問するこのおばあさまは、頭がおかしいんじゃないか、と思いましたが、笑い事では済ませられません。

 あれから十数年経ちました。結論は出ていませんが、明らかになったことがいくつかあります。「あの世はあります。天国はありますが、地獄はありません。おばあさまは、ご主人に必ず会えます。二人が一番若かった、結婚した頃の二人になって、会えます。天国で、一番会いたかった人には必ず会えます。勿論ですが、会いたくない人には絶対に会いません。ご安心ください。」私はたぶん、そう答えるでしょう。

ルッコラ

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2259  風花に届かざれども手をかざす  政子

2022年02月15日 | 

 (かざはなに とどかざれども てをかざす)

俳句や短歌では、作られた場所、時間、事情などを説明する前書きが付けられることがある。これを詞書(ことばがき)という。この句には、「吾子(あこ)逝けり」という詞書がある。

 「吾が子が亡くなって詠んだ」ということが解れば、「届かざれども」と「手をかざす」が、作者の大きな悲しみを表現していることが理解できる。詞書がなければ、なかなか理解は難しい。

黄水仙

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2258  立春大吉禁酒禁煙禁美食  六甲

2022年02月12日 | 

   この句を一般的に解釈すれば、➀「立春だからこそ禁酒禁煙禁美食をした」だろう。例えば、夕べ飲み過ぎて体調不良だった。もっとひどくて、新型コロナで熱を出して寝ている、とか。

 しかし、別の見方をすれば、作者は、➁「ずっと前から禁酒禁煙禁美食を続けている」のかもしれない。何故なら、健康な人が、たった一日だけ、まして立春の日に禁酒禁煙禁美食するとは考えにくいからだ。

但し、下司の勘繰りかもしれないが、作者の本音を探れば、「立春に禁酒禁煙禁美食をして「大吉」つまりとても良いことが起きることを願っている」のではないのか。いずれにしても、作者に聞かなければ、本当のことは分からない。

ワビスケ(侘助)

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2257  空腹を水で満たすや寒の犬  雲水

2022年02月10日 | 

 我が家のデンは、11才の老犬である。朝晩2回の食事は、ずーっとドライのドッグフード2カップだったが、やや太ってきたので2年前頃から1カップに減らした。すると、やや痩せて来たので、1.5カップに増やした。

 いずれにしても、いつも空腹で餌を欲しがるので、「胃袋が歩いているようだ」などと言われたこともある。空腹を紛らわすためだろうか、最近特にやたらと水を飲むようになった。胃の中でドライフードは、水によって膨れて満腹感を感じるのだろう。そろそろ老犬用のダイエットフードに切り替えようと思う。

岩戸犬 デン 11才

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2256   寒月や道行く人を石に変え     鯨児

2022年02月08日 | 

 「夏の霜」という季語がある。「夏に、道路などが月に照らされて白い」という意味で、夏に霜が降りた、という意味ではない。

二十数年前、私は歳時記にこの「夏の霜」を発見し、喜び勇んで句作りして投句したが点も入らず、まして質問も受けず、没になった。俳句そのものが面白くなかったのだろうが、句会の皆さん「夏の霜」の意味が分からなかったのだろう、と思われた。

つまり掲句、人が石に変わった訳ではない。石のように見えたのだ。私を含めて五人も選んでいるのだから、満月の晩のそういう状況を皆さんご存じなのだ。

 但し、この句の「寒月や」を「夏の霜」に替え、「夏の霜道行く人を石に変え」として夏に投句したら、果たして点が入っただろうか。残念ながら、そういった試みはできないが・・・

ムスカリ

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2255  寒林や生きとしもののある気配  稱子

2022年02月07日 | 

 見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れるという五感を働かせるのが、俳句の基本と言える。更に、見えないものを見る、聞こえない声を聴こうとすることも俳句だ。

「気配」を辞書で引くと、➀気くばり、手配 ➁何となく感じられる様子、とある。

  この句の場合は➁で、寒林に命を宿す全ての、微生物から植物や哺乳類までを含み、作者はそれらに耳を傾けているのだろう。更に、事実を超越した精霊や天使、物の怪や妖怪などや仏や神の世界にまで気配を感じ取れば、俳句の世界は更に広がるだろう。

外来種のガビチョウ(画美鳥)とソウシチョウ(相思鳥)日本の風土に合うのか、着実に増えています。在来種のウグイス(鶯)などの小鳥たち、肩身が狭そうです。

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2254  第305回 岩戸句会 1月

2022年02月05日 | 岩戸句会

寒林や生きとしもののある気配   稱子

湯たんぽを赤児のように抱いて寝る

 

遠火事や放火魂疼く夜       鯨児 

寒月や道行く人を石に変え

 

玄関の乱れし靴や去年今年     豊春 

仄赤き雲の広がる寒の空

  

精悍な風貌となり成人日      さくら

駅なかにピアノ響くや寒に入る

 

雪の夜は踏切の音高くして     イヨ

初雪やただ深々と夕の闇

 

冬花火果てたる闇に孤りをり    凛

雪の日の三千院が好きと君

 

冬の海月光の道佇まふ       黄玉

満月臘梅寄り添って漣

 

夫婦にも雑煮の味は郷の色     裕

福寿草箱根七里を駆け抜けて

 

初泣きは親と娘の卒業式      沙会 

書初めは行雲流水と決めにけり

 

初詣最強守り一つ買う       鞠

早春や古希の祝いの昼の茶事

 

福寿草ぷいとよそ向く犬の鼻    薪 

チーズフォンデュ泡立ちねばる女正月 

 

初雪や紅茶に一匙ナポレオン    洋子

女正月男交じえずいと楽し 

 

スマートフォン操る子の香筆はじめ 炎火

大発会オミクロン株大暴騰

 

おでん食べ身も心も通い合う    余白

雪だるま汚れ欠けてもおかしけり

 

猛襲のコロナ六波や小正月     光子

どんど焼き灰かき分けて柚子参上

 

大寒や野鳥の皿に湯を満たす    雲水

空腹を水で満たすや寒の犬

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2253  野ぼたんや毎日咲きて毎日かなし  洋子

2022年01月16日 | 

「かなし」を辞書で調べると、以下の様に3種の漢字と6種の意味がある。

「かな・し(愛し)」には、

➀ しみじみとかわいい。いとしい 

➁ 身に染みて面白い。素晴らしい。心惹かれる。

 「悲し」「哀し」には

③ 切なく悲しい ➃ 不憫だ ⑤ 悔しい残念だ、⑥ 貧しい。生活が苦しい

従ってこの句、作者は「愛し」の➀と➁の意味で使ったに違いない。

寒風が吹き、雪が降り、空気が乾燥しているので

100キロ先の熱海からスカイツリーが良く見えます。

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2252         ロングブーツ女性車輛の闊歩かな  さくら

2022年01月08日 | 

日本の女性専用車両は、明治四十五年に初めて導入されたという。戦後、本格的に導入されたのは、平成12年で痴漢など性犯罪防止を目的としている。さて、この句。「闊歩」という言葉から、女性なのに男っぽく歩いていることが想像される。

最近、レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を並べた通称「LGBT」と呼ばれる性志向の異なる人々の人権を保護しようという活動が公になりつつある。世の中に、「LGBT」の人々がどのくらいいるのだろうか。

女性専用車両には、男性的女性や女性的男性など様々な女性が、スマホを眺めているんだろう。できることなら、女装して乗って観察してみたいものである。

フキノトウ(蕗の薹)

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2251   第304回 12月 岩戸句会  

2022年01月06日 | 岩戸句会

薪ストーブ令和新撰組屯所        炎火

ドラキュラも溶けゆくさだめ霜柱  

 

年用意思ひも染みる筑前煮        さくら

ロングブーツ女性車輛の闊歩かな 

 

下駄箱の木製列車冬日向         豊春 

冬ざれや茶箪笥飾る志野徳利

  

大晦日余白の多き手帳かな        光子

一人居のチャチャチャのチャッと大掃除

 

蓑虫や庭の手入れに切りをつけ      洋子 

野ぼたんや毎日咲きて毎日かなし 

    

クリスマス何度聴いてもあきぬ歌     凛

数え日や仕上げを急ぐ合唱団

 

残照の破片むさぼる鴨の河        薪 

数え日を搦め綿菓子太らせる 

 

犬死にも英霊となれり開戦忌       鯨児

風一陣茜の波や冬夕焼

 

家中の時計の針や年惜しむ        裕

数へ日や隣人もまた無精髭

 

よく売れるパン屋の横のみかん小屋    鞠

数え日の切腹最中でお茶事かな

 

朝日浴びふくら雀となりにけり      歩智

カレンダー最後の一枚寂し気に

 

短日や日の出一分遅くなり        パピ

冬花火輝き沸き上がる拍手

    

玉柘植にイルミネーション聖夜かな    余白

文士村柿熟してももぎ手なし

 

数え日の踊りおさめのタンゴかな     稱子

嫁入りの包丁健在のっぺ汁

 

数え日や思わぬ奇跡が起きにけり     黄玉

数え日や満天星と流星

 

冬ざるる地震竜巻地の果ても       沙会

夕映の冬山紅葉拝みをり

 

数え日を残し射したる朝日かな      イヨ

さざんかの花道続くを風去りぬ

 

黄を増して日に日に柚子の輝けり     雲水

朝焼けや霜にまみれし青菜摘む

初雪や窯の余熱はこころにも   雲水   

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