一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

2193  第295回 岩戸句会 3月

2021年04月08日 | 岩戸句会

門灯をまあるくつつみ春の靄       歩智    

櫻咲く歩く場所なし目黒川

   

春疾風洗濯物を平手打ち         沙会

山笑ふうしろに白き富士も居て

 

早蕨や時代に媚びず背伸びせず      裕

春時雨足湯に空のワンカップ

 

一日に玄米二合と木の芽和        パピ  

三・一一世界を繋ぐ花は咲く

  

春愁ひ履くあてのないハイヒール     凛

タンポポが野原でそっと待っていた

 

霾るやへのへのもへじとボンネット    鯨児

春嵐屋根打つ雨やバルトーク

 

奪衣婆の髪にあおあお春の苔     薪

全集の細かき活字春嵐

  

お彼岸も行けずごめんねお母さん    貴美

春嵐どうせ外出自粛中

 

達磨山臍の辺りでホーホケキョ     炎火 

点と線たんぼの中の蛙の子  

 

春嵐モンロー真似る男達        豊春

遠近にエンジンの音春の山

      

ずっしりと重きおにぎり初音聞く    洋子 

迷いなく花蹴散らして犬走る

   

桜咲く富士霊園へ墓参り        余白

土筆出た若きママさん声高し

 

公園の春青年のジャグリング      稱子

茶を供す吾手描きの帯の紫木蓮

   

 

春嵐くっきり虹を置き土産       光子

春彼岸作りましたよ五目寿司

 

木の芽時空気が微温い雨の朝      さくら

春荒れて双子積み込む乳母車

 

夜座禅お月様雲と夢語り         黄玉

春疾風白いマスクは凧になり

 

たそがれつ雨風さわぎ花は咲く      イヨ

段々のわさび田静か天城山

 

おぼろ月何もかもみな包んでる      鞠

さくら山濃茶と菓子にしあわせよ

 

どなたにも愛想の良き雪柳        雲水

「バカの壁」の「の」の字の意味の種を撒く

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2184  第293回 1月 岩戸句会  

2021年02月04日 | 岩戸句会

楽しみをまず書き入れて初暦     さくら

たっぷりと街並濡らせ冬の雨

 

亡き母へ空に向って初電話      洋子

女正月ひとりトランプ占いす 

     

さあ今朝もワルツの如く掃除かな   光子

手短かに遠慮もありや初電話

 

初つららワクチン打つか打つまいか  炎火

心拍の音ばかりなり雪の夜 

  

ままならぬ事はさておき福笑い    凛

「たんと雪積もっちょるよ」と初電話 

 

春糸に編み針絡むタンゴの足     薪

道具屋にこけし林立小正月

 

東雲を赤く染めつつ初日の出     イヨ

龍のひげ光る瑠璃色抱きしめて

 

春隣診察室の聴診器         豊春

陽の落ちて行方定めぬ寒鴉 

 

雪降れば子供に成って遊びたき    沙会

公園の水辺に鳴けり夕千鳥

 

荒星も夜空の縁にしがみつき     鯨児

ほんのりととぼとぼの先の冬障子 

      

マスクして挨拶交わすあなた誰    パピ

季の語よりはずされそうなマスクかな 

   

メールして初電話して少し呑む    裕

聞き役なるばかりかな初電話

 

初電話不在着信赤い文字       歩智

目借時蒟蒻踊る鉄鍋で

   

飛行雲曲がることなく冬の空     余白

枇杷の花人目を惹かず庭の隅

 

世界中何はともあれ年明くる     稱子

初日の出誓い決心持たずおく

 

目が覚める堀文子絵のカレンダー   鞠

初釜や静寂の釜と花びら餅

 

メールして初電話して少し呑む    裕

聞き役なるばかりかな初電話

 

初電話孫に元気をもらいけり     貴美

二メートル離れて祝う新成人

 

湯豆腐やモダンジャズからバラードに 雲水

噴き上がるマグマの余熱初山河

梅一輪一輪ほどの暖かさ  嵐雪

   

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2178   第292回 12月  岩戸句会

2020年12月26日 | 岩戸句会

永久にひとり芝居や冬落暉     薪    

塾帰りお下げの芯の冷えており

 

素蛾の森青女も舞いて熱き宴    鯨児    

冬木立途切れ途切れに啜りなき

 

ホットミルクに抹茶落して今朝の冬  鞠

蜜柑の実ポトポトこぼし電車過ぐ 

 

名草枯るただ一色の朝の道     イヨ

来た道は荒ぶ北風行く道も

 

木枯しやビュッフェのタッチ大銀杏 炎火

早朝の一番ホール青女かな 

 

そば食へば一節流る年忘れ     沙会

聖夜待つ宅急便の箱二つ

 

白マスクパッチリ眼青女かな    豊春  

冬枯や静もる団地竿売師

 

陽の差せば地に還りゆく青女かな   凛

触れし手の透きとおりゆく青女かな

 

冬薔薇人の名ありて棘ありて    さくら

金継ぎの湯飲みで啜る卵酒

 

オンライン会話にあきて冬星座   洋子 

手放すという決断や冬構 

 

都会には都会の寒さありにけり   稱子

人ひとり通る裏路地柚子たわわ

 

軽井沢星降る森のクリスマス    貴美

コロナでも何時ものように師走来る

 

マスク好き横着できて暖かで    パピ

冬晴や石工先祖の碑を訪ね

 

告知うけ胃ガンの身体冬始め    余白

枯れ葉たち人混みぬきて急ぎ旅

 

朝ぼらけ青女の吐息銀の峯     裕

柚子湯あとこの一年に酒を酌む

 

風と木々時に梟コンチェルト    雲水

大根の穴に堆肥とジムノペディ 

ヤツデ(八つ手)

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2169    第291回 十一月 岩戸句会  

2020年12月01日 | 岩戸句会

ぶつぶつと呟き聞こゆ紅葉川    薪    

コロナ不況の保護猫貰う小春かな

  

畑道を静かに揺るる草紅葉     イヨ

雪富士を背負い夕べのかの山よ

 

障子張る祖母のまねして母まねて  洋子

テレワーク息子は別人おでん煮る

 

朝時雨軒に二連の柿すだれ     裕

昼時雨冬芽を硬く暖かく

 

見習いの剪刀のリズム松手入れ   稱子

労りの二人の暮し鳳仙花

 

風水の幸せ色の大銀杏       凛

時雨駅傘をさす人ささぬ人 

 

冬の朝株式欄と新コロナ      炎火 

富士壺と同じ遺伝子雪の富士     

 

二千キロ飛行する蝶密を吸う    パピ       

時雨るや俊寛僧都流刑の地 

 

風水の幸せ色の大銀杏       凛

時雨駅傘をさす人ささぬ人 

 

秋灯火頁繰る指眠り入る      さくら

夜長し多くなりゆく生返事 

 

赤い橋人の恋しい時雨傘      一煌 

舞うほどの花をもたざる冬桜 

 

半日で障子張り替え大欠伸     豊春

夕時雨取り残されし庭草履

     

空になき都民憧れの天の川     余白

朝時雨継ぎはぎ補修の舗装道

 

 

秋深し一番星のお湯の中      沙 会

冬浅し水かけ論も会話中  〃

 

来年の手帳ぼちぼち買わなくちゃ  貴 美

胸に抱く焼き芋温し帰り道  〃

 

冬木立朝日大きく呑み込みぬ    鞠 

いろいろの冬のヤモリと出会いけり 

 

野の花を挿して勤労感謝の日    雲水

鬱蒼と猪のぬた場の濁り水 

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2158   第289回 岩戸句会 9月

2020年10月04日 | 岩戸句会

肴には古漬胡瓜月の庭       裕

山盛りの胡瓜漬け込む白き腕

 

草紅葉口紅つけぬ半年間      洋 子     

ドーナツの穴から見える彼岸花 

  

うろこ雲ガラスのビルをパッケージ 炎 火  

鶏頭の他にもいろいろ牛舎跡 

 

すれ違うたばこの香り鰯雲     余 白

神の手が水振りまいて秋はじめ

 

ガラス戸の逆さ懸垂いぼむしり   豊 春 

古鞄蟷螂這わす蚤の市

 

今年米片手でたりぬ配り先     歩 智

にぎやかにお墓の話敬老日

 

護摩をたく僧の緋ころも赤トンボ  稱 子

口笛の少年が吹く「里の秋」

 

翅畳み閑かな交尾秋の蝶      薪

谷筋に添う稔り田の黄金かな

 

松虫を夜風が闇に誘い入れ     沙 会

一望を一筆にする雨の秋

 

秋黴雨正体不明のもの怖し     凛

小鳥来る今も絵本の愛読者

 

待つわなど軽く言ひしが秋の雨   さくら

かと言って何事もなし敬老日

 

秋麗にFM熱海我が家から     一 煌 

敬老日孫の手型とひとり酒

 

朝は白徐徐に徐徐にと酔芙蓉    パ ピ

台風の目の中は静かだと言うが

 

菊活けて貴き一会とぞなりぬ    鞠

秋霖のこころ透きたることばかり

 

朝明の窓打つ風は秋の音      イ ヨ

雲の中見上げて寂し後の月

 

長雨が晴れて高まる秋の空     貴 美

秋霖や窓ふきその他あと回し

 

雨の色陽の色加え初紅葉      雲 水

イタリアンシェフ居酒屋で新さんま

ヤモリ(守宮、家守)

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2152  岩戸句会 8月

2020年09月04日 | 岩戸句会

八月の簾の外の影法師        鞠

一筋の水涼風の奥へ奥へ

 

敗戦日五才の姉におぶわれて     パピ 

家採れの極小ゴーヤチャンプルー  

   

熱の夜天の河から船を出し      裕

しらたまを井戸で仕立てて天の川

 

嵐前ゆらりゆらりと芋の茎      洋子

夏惜しむショートカットにして下さい

 

にわかなる稲妻ありて豪雨つれて   イヨ

コロナ禍のマスクの辛さ秋はじめ

 

クレーンがのろのろ掴む炎暑かな   薪

夏雲や運慶仏の力瘤

 

新涼やこの風今日の贈り物      凛

今朝の空ひとりじめして蝉絶唱

 

桃冷す産毛に宿る虹の泡       海人 

ちっぽけな地球見下ろす銀河かな

 

あれやこれ時効にしよう生ビール   さくら

現し世にゆっくり戻る午睡覚め

 

妻の留守蜩鳴きて飯を炊く      豊春

竹樷の奥にカンナの浄土あり 

 

径あれば只真直ぐに秋日傘      沙会

酔ふてみる芙蓉に負けぬ紅の頬

 

送り火に映える面影母に似て     貴美

天の川最後に見たのはいつの日か

 

境内に指ほどの穴蝉しぐれ      炎火       

ガラケイの歩数は三十猛暑かな 

 

炎天や救急セットの赤チン      歩智

エアコンのきいてる部屋に鬼やんま

      

 

恐ろしや蝉飛ぶ姿母心        余白

猛暑日に幼児明るく水遊び

 

ことさらに祈りに近き花火かな    稱子

蟷螂の斧高々と青山河

 

きりぎりす男が歌う女唄       雲水

寝転んで大銀漢の尾を掴む

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2142  岩戸句会 7月

2020年08月02日 | 岩戸句会

県道を渡り切れずに青大将     炎火  

故障せし液晶パネル五月闇

 

交番に入りしカマキリ喧嘩ごし   凛

風死すや酸素不足の宇宙船

 

長梅雨やセミの抜け殻石の上    パピ

河原で足湯乾季のニューギニア

 

風死すやN字の打てぬ電子辞書   豊春

風死すやラッセル音の宅配子

 

風死して遠くで叱る嫁の声     裕

風死して空の魚籠や防波堤

 

白々と神の御座か山法師      薪

蜩の声のぼりゆく浅眠り

 

老杉の雫の元に苔の床       さくら

極上のタオル戴き夏は来ぬ

 

梅雨明や老いても子には従わず   沙会

七夕や人は旅人明けの星

 

老犬のあくびものうし黒揚羽    洋子 

ギンギンに冷えたるワイン梅雨晴間

 

梅雨雲を割って沸き立つ雲の峰   貴美

風死して鳥のさえずり山の峰

 

一瞬にして消え去りし舟虫     海人

昼寝覚夢追いかけてまた眠り

 

お茶の間に月が差し込む夏料理   鞠

涼しさや色を配して普茶料理

 

龍子行く葉桜並木傘さして     余白

梅雨雲は東シナ海連なりて

 

安否知る夢二のはがき遠花火    稱子

うすものをまいて想うや母の所作

 

夏椿落ちて動くや犬の耳      雲水

これから行く虹の真下のラーメン屋

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2133 岩戸句会 3月

2020年04月13日 | 岩戸句会

奪衣婆に椿を手向け友恃む       薪

告知祭聖母のようなまり子逝く

 

無観客桜並木が透き通る        鞠

若布干しカラカラ音の風の道

 

病み上がりの夫に一杯蜆汁       パピ

居酒屋の名前はコロナ春嵐

 

菜の花や夕日映えつつ風の波      イヨ

ふるさとの山写しつつ水温む

 

夕暮の日輪淡しつくしんぼ       沙会

いつまでも莟にあらず桃の花

 

一陣の風に踊るや雪柳         海人            

雨雲と春満月のかくれんぼ   

 

わくわくとシャカシャカ振るや種袋      洋子

春眠やバターの溶けゆく香りする

 

幼な児のあやせば笑う花の下      稱子

海一望の展望風呂や花吹雪

 

春の海人類vs病原菌         炎火

トイレットペーパーマスクラーメン山笑う

 

風そよぐ谿に溢れる山桜        豊春

葉桜や誓いの指輪照る涙       

 

ヨロヨロにコロナを加え春を往く    余白

遅き雪自宅待機爪を切る

 

天災かはた人災か花に雪        凛

花浄土われらは後期高齢者

 

気疲れを軽く揺らして花ミモザ        繰子

ふたりには戻れぬ一人花の雨

 

春の町恋ヶ窪行きバスが来る      さくら

次郎長の煙管が光る春の暮

 

春爛漫夜の宴もテレワーク       裕

武漢より届いた知らせサクラチル

 

人混みを逃げて静かな野の桜      貴美

 

青年にウィルスの匂い西行忌      雲水

諸葛菜咲かせて貧しからざるよ 

  ハコベ(繁縷)

 一月ブログをアップしなかった。理由は、➀ガラケーからスマホに替えたからだ。犬の散歩で見つけた植物を、Facebookに載せていたのと、➁コロナウィルスのニュースに気を取られていたからだろう。句会も集まるのを中止し、インターネットで行った。今月も集まるのは無理だろう。

 さて、コロナウィルスの影響で、東京、大阪など、都会の医療崩壊が始まっているらしい。政府や首長の対応の遅れは歴然で、残念ながら、武漢、イタリア、ニューヨーク並みの事態になるのではないか。11年前に公開された映画「感染列島」を見るようだ。

 武漢のニュースが流れ始めた時点で、又、ダイヤモンドプリンセス号が入港した時点で、渡航禁止、入国禁止を政府が英断していれば、と思うと悔しくてならない。

 新型コロナ対策本部、医師会などの言うことに耳を貸さない内閣、厚労省の政治家と官僚の危機感の無さを露呈し、全てが後手後手に回っている。「466億円かけて、布製マスク二枚を全世帯に配る」を首相自ら語るなどは、考えられない事だ。

100年前、1918年から世界中に蔓延したスペインかぜは、パンデミックと呼ばれた3年間に、当時の人口20憶人の4分の1である5億人が感染し、死者が1700万人~5000万人~1億人に達した可能性も指摘されている。

 最悪の事態として、スペインかぜと同様に単純計算すると、コロナウイルスによる死者は、世界で6800万人、日本では140万人になる。

そんなことにならないよう、祈るのみ。

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2112  第279回 11月 岩戸句会 

2019年12月07日 | 岩戸句会

神の留守作り置きして旅に出る   パピルミ  

冬の海中鰯キラキラ頭上を通る

 

烏瓜飾り路上の生活者       薪

短日や兎土偶に尻の穴

 

冬の朝ぐっと近づくランドマーク  さくら

咲き初めて石蕗に移ろう季節かな 

 

冬晴や三界一望透かしをり     沙会

息止めて又咳ひとつ枯芙蓉

 

コスモスや遠い記憶の廃校よ    鞠

ゆっくりと踏むサクサクと落葉かな

 

朝夕の温度差知りぬ冬始め     イヨ

からからと風と去り行く落葉あり

 

秋風や豆腐コトコトネギ生姜    裕

湯豆腐もいつもの鍋で無精者

 

休航のマスト奏でる北風かな    海人

目白鵯雀集いし子守柿

 

喜より怒を俳句にせんと冬の旅   炎火

なけなしのスタミナを削ぐ濡れ落葉

 

今朝の冬レジに居並ぶ婆と爺    豊春

枯蟷螂呼び鈴抱え動かざる

 

面取りのやや雑となり鰤大根    歩智

終活の準備せよとの妻の声

 

さざんかや咲き乱れては散りたがる 洋子    

ひと筋の蔦にすがるや烏瓜

 

老夫婦手を取り運ぶ冬野菜     余白

陽だまりの子規庵囲むラブホテル 

 

草花にかすかな湿り今朝の冬    稱子

一刀両断薪一回転の着地かな

           

初氷割るや小鳥の水飲み場     雲水

小鳥来る旅立つ夢の実万両

 

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2106  第278回 10月 岩戸句会

2019年10月31日 | 岩戸句会

虹二重即位の礼を祝いけり     歩智

路地の先野菊そろって先始め    〃

 

やわらかな風に芒の筈なのに   さくら

それぞれに思う手仕事秋時雨    〃

 

高層はガラスの城や秋日さす    炎火    

秋の空傷つきやすきオゾン層    〃

    

皇宮に響く礼砲秋の虹       稱子

独り居の九十五才金木犀      〃

     

晩秋の秘境の宿へ沢の音      イヨ

夕暮れを静けさ語る芒道      〃

 

咲きました入笠山のホトトギス   鞠

台風やカレー作りを一身に     〃

 

睡眠剤の効いてくる頃残る虫    薪

愛猫のお骨は鳴れり秋夕焼     〃

    

草かげに野ザルの母仔青みかん   裕

ちろろ酒暮色のとけて月を呑む   〃

 

さり気なく一句浮かんでとろろ汁  沙会

秋めくや一つ咳して山の風     〃

 

白秋の童話館やもみじ雨      貴美

台風に荒れて静けな箱根道     〃

 

残る虫介護する人される人     海人

亀虫一匹上へ下への大騒動     〃

 

のら猫の通り道なり酔芙蓉     パピ

ちちろ鳴く弔辞を読んだ兄も逝き  〃

 

紅玉の酸味が旨しパイ作り     洋子

迷いてもこれで良かった鳥渡る   〃

     

カマキリが姿勢正して旅たちぬ   余白

庭仕事木犀の香が身を包む     〃

 

ジジババの月見団子や昼の宴    豊春

大根菜を間引く足元揺らぎけり   〃

        

残る虫死は安らぎと宣く      雲水

ほくほくのこころ初物栗御飯    〃

   シュウメイギク(秋明菊)

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2088  第276回 岩戸句会 8月

2019年09月03日 | 岩戸句会

線香花火呟くように落ちにけり   薪

昭和家族の真ん中にいた大西瓜

 

通販のカタログ厚し残暑かな    洋子

大夕立人も犬も走る走る

 

夏休み自由の刑に処せられる    炎火     

無宗教のはずの俺が墓洗う

 

衛兵の頬に一筋汗の跡       海人

一杯で止せば良いのに酔芙蓉 

 

炎帝やマスクマスカラ背にリュック 豊春

墓洗う父母の面影薄れゆく

  

風鈴の音色賛否の人模様      余白

蟻がいるアチラコチラに心にも

 

妹の美人薄命墓洗う        稱子

人っ子一人居らぬ公園蝉しぐれ

 

檜扇や老人ばかりの内科医院    雲水

乗っていたドローンタクシー昼寝覚め 

  

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2055  第272回 4月 岩戸句会

2019年05月02日 | 岩戸句会

たんぽぽの綿毛とばして願うのみ   洋子 

犬ふぐり踏まれる毎に拡がりて

 

かさこそと口割る鍋のあさりかな   待子

山笑ふひなびた宿のひのき風呂  

 

菜の花やハングライダー降下基地   炎火 

春霞りん郭のないホルスタイン

   

ふらここで揺れているかや遊石さん  歩智

北窓を週末には開く気分

   

春一番すべては風の吹くままに    沙会

入学児低く小さく傘の波

 

天空の星みな落ちて犬ふぐり     海人

大山の残雪背に一仕事

  

箱根路や緑の風と蓬餅        裕

まず針魚先代の話など熱燗で  

 

桜時ラジオに留守を頼みけり     薪

リラ冷えや猫の瞳孔みはるまま

 

木の芽雨隣も前も退職者       豊春

ゴミ出しのノルマ果たすや竹の秋

    

牧野氏を恨んで可憐イヌフグリ    美部

はやる気と酒を抱えて桜追う

     

道灌も分からぬ山吹かけ言葉     余白

タケノコを茹でれば正味四分の一

 

連れ添うて五十年余や春の旅     稱子

溢るるは他国の笑顔京の春

 

山間の音立つ小川水温む       イヨ

静けさの山々笑ひ明日令和 

 

春霖や老いては街に住みたきに    さくら

ハグ受けて気力溢れし春惜しむ    

 

黄木蓮三年越しに花開く       鞠

平成の最後の句会夏隣る  

 

春惜しむどころか今は冬戻り     貴美

公園で弁当箱に花吹雪

 

初蝶や川辺の暗きところより     雲水

聞く耳を持たぬ爺いへ春の雷

 

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2048   271回 3月 岩戸句会

2019年04月02日 | 岩戸句会

春嵐微動だにせず父母の墓      海人 

戦無き世に源平の桃の花 

 

ドーナツ版三寒四温ビートルズ    沙会

おぼつかぬ脚踏み出して仔馬行く 

 

たんぽぽの乳白色の血潮かな     炎火 

平成や桜吹雪となりにけり

 

畑道の静けさ破りすみれ咲く     イヨ

船遙か光る波間は春の海 

 

点々と木五倍子明りや道普請     薪

早春の産ぶ毛にふれし風の途

 

手術前ナースの微笑春の朝      豊春

青き目と着物と桜浅草寺

   

毎日の選抜野球始まりぬ       歩智

春の風邪いつまでもいつまでも引き

 

風光る空かきまぜてヘリ西へ     さくら

ひたすらに耐えて今ある花辛夷  

 

春の海鷺二鵜が三岩の上       鞠

花冷や枯山水の早雲寺  

 

春来たる草木芽吹いて花も咲く    余白

春荒れて決まりの仕事延期せり

 

残雪遥かめぐる松本なまこ壁     稱子

雉子の啼く朝の凛凛八ヶ岳

  

植木市はしゃぎたる声辛夷咲く    洋子

初音聴くテラスでお茶にしましょうか

         

春雷や犬跳ね起きて耳たたみ     裕

陽だまりに寄せては散らし花吹雪  

 

春荒れやピクニック弁当リビングで  美部

春荒れや天気予報の裏をかく

 

金継ぎの金箔舞うや春嵐       雲水

里山の笑い初めたる日和かな

ムラサキハナナ(紫花菜)、別名ショカツサイ、ハナダイコン     

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2037  第270回 岩戸句会 2月

2019年02月28日 | 岩戸句会

早春や八十五才の脚絆かな    豊春

早春や緋色眩しき神女舞

 

高気圧又低気圧花曇り    沙 会

その波も音も日射しも春の海  〃

 

探梅や人の寿命と樹の寿命    洋子 

ハーモニカ合わせて歌う早春賦 

 

畝傍山光の春よ記紀の夢    裕

春がすみ放念眼眸何も見ず   〃

 

砲口は日本海へと黄水仙     炎火

早春や何も知らない子供達

   

春節に色の氾濫ターミナル    さくら

校長の長き訓示や紀元節      〃

 

白梅やたそがれ月へ香り添う   イ ヨ

薮椿道細くして咲き満ちぬ     〃

 

つぼみなる鴫立沢の西行忌    鞠

新玉る建国記念旗立てる     〃

 

まんさくに拾った鍵を掛けておく 薪

春光を散らしておりぬ手話の指

    

スーパームーン桜の蕾輝けり   海人

鴨群れて描く水輪や堀の春

  

拭き終えて光る硝子に桜の芽   歩智

痛き程春陽を反射相模湾

 

観音の百済の笑みや梅月夜    雲水

節分の鬼くすぐられ身をよじる

 オオアラセイトウ(大紫羅欄花)別名ショカツサイ(諸葛菜)、ムラサキハナナ(紫花菜)、ハナダイコン(花大根)

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2027   第269回 岩戸句会 1月

2019年01月31日 | 岩戸句会

北風に身を細め行く深き夜    沙会

澄み渡る大気の中に冬の星

 

初社彫師伊八の波しぶき     薪

線量汚染の放置茶畑北風吹けり

 

平成の御世の終わりの星冴ゆる  佳津

雲間より日の射す海や雪時雨

 

虎落笛病んだ心に棘を刺し    海人 

風冴ゆる子を抱く母の大き胸

 

宝船吉祥天女の麗しき      さくら

初詣時代遅れで生くもよし

 

初句会蜜柑金柑緊張感      裕

犬が呼ぶ散歩しようか枯木立

 

羽根付きも凧も最近見ないわね  貴美

お正月苺頬張るしあわせを

 

冬ざれの河原の小鳥群れなして  イヨ

鳴く風の窓打つ音や春隣

 

微笑みの着物を競う初稽古    鞠

初稽古競う着物の微笑まし

 

初夢は人口知能による平和    炎火

廃材が華となりけりどんど焼 

 

言祝やもてなし過すひと日なり  洋子 

茶の花やグレイヘヤーに迷う日々

 

赤信号ダウンコートの背比べ   美部

冬うららシャラポワの声で目がさめる

    

初烏切り絵となりて舞い騒ぐ   豊春

マスクして化粧重ねてランニング

 

松過ぎを待ちて逝きたる友ひとり 歩智

松過ぎて動きたくないわたし達

 

幸せのひとつ冬日のぬくさかな  稱子

畳紙に母の筆文字初茶の湯

 

黄昏に庭の照明黄水仙      余白

公園に手袋片手落とし物

 

初詣ここも太古は海の底     雲水

権現を諸手に抱き山眠る

 

 

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