百日紅近くて遠き生家かな 海人
夏花火握りしめたる小さき手
腹這いて灼ける川原の石を抱く 薪
朝採れの野菜に並ぶ避暑の人
送り火や赤き脚爪うずくまる 豊春
ヘルメット目深に走る盆の僧
青鷺の釣り師のごとく佇めㇼ 侠心
汗くさき工人蝶にまとわられ
あなたには桔梗の花の切手貼り 洋子
チェンジコートオードトワレの香りくる
サイレンの一分間や敗戦日 炎火
避暑の群コンピュ―タが捌きおり
鳴き疲れたる秋の虫我も寝る 歩智
岩戸窯避暑の気分で一服す
牛丼を食べて夕立やり過ごす 余白
セミ飛ぶと俺の心に不安湧く
夏惜しむ鎌倉彫りの下駄仕舞う 章子
小さき子をヒョイと隠すや青芒
打ち水の浅草界隈蕎麦すする 稱子
石仏に降る木洩れ日と蝉の音と
新涼の庭を見回る花鋏 雲水
図書館や六キロ離れ避暑気分