茄子漬の紺に艶あり我に艶なし 海人
父の日や豆のつまみと文届く
糸蜻蛉油膜のごとく発光す 炎火
午前五時芦の湖湖畔七変化
梔子や月下に雫は詩を詠む 裕
浮浪雲梅雨の晴れ間は鉢に涌く
半夏生母は弱音をはかぬもの 洋子
梅雨晴間四つ葉のクローバー見つけたり
草匂ふ遊ぶでで虫雨の中 イヨ
栗の花垂れて月夜の静かかな
木洩れ日ゆるるひっそりと破れ傘 一煌
金糸梅光集めて白い蝶
なんとなく声を落として夕蛍 沙会
こころもち向き合うように燕の巣
空中に留まる如し親燕 豊春
道草の一年生や梅雨晴間
梅雨寒や我だけ歳を感じるか 鞠
幽玄のすべてを照らす梅雨の月
廃屋を奥に匿して枇杷熟れる 薪
沖縄のシーサー睨む梅雨の空
犬右手傘は左手梅雨に入る 歩智
手水舎のインスタ映えや四葩浮く
シューベルト一辺倒の野バラかな さくら
五月雨雲住み慣れし町離れたり
あじさいの千の雨粒千の色 稱子
麦秋の富士の黒々夕深む
梅雨篭り午後のオセロのモノトーン 美部
梅雨だからホームで涙いいでしょう
鉄路旅青田茶畑雲低し 余白
剃刀で空を切り裂きツバメ飛ぶ
こんな夜も珠にはあるか梅雨の月 貴美
庭先のゴーヤ負けるな暴れ梅雨
腹膨れ藪蚊畳に休みをり 雲水
担々麺食べに行こうか青葉寒
ハンゲショウ(半夏生、半化粧)、別名カタシログサ(片白草)とも