人は、生まれて以来、毎日、今日という日、「今の日」を重ねている。私の生きてきた時間を計算してみた。七十年五か月、二万五千日余りの今日を重ねたことになる。人は、今を生きるという。今を秒で表せば、私は二十二億秒余りの今を重ねたことになる。しかし厳密に数学的にいえば、今という時間は無限にゼロであり、今を生きた時間は無限大である。私たちの命は有限であるが、有限の中に無限が内包されている、ということになる。
炎火さんの句に
五月雨や点なのかさて線なのか 炎火
という句があったが、時間で言うと、永遠という線の中の点は有限ではあるが、無限でもある。鶯の寿命は、運が良ければ八年、自然界では三~五年だそうだが、人間の寿命と本質的に同じなのだ。
ガクアジサイ(額紫陽花)