60年前10歳の頃、生まれて初めてチーズを食べさせらた。多分、雪印のプロセスチーズである。第一印象は、臭くて不味いと思い吐き出してしまった。これを見た父は、太平洋戦争の軍隊帰りで非常に厳しかったし、私がチーズ嫌い、と分かったので、ほとんど毎日食べさせられたのだ。ところが2,3年経ったある日、突然「あれ、このチーズ旨いな」と思ったのだ。
私がこの経験から導いた結論は「どんなに不味いものでも、食べ続ければ美味しく感じるようになる。何故ならば、どこかで誰かが美味しいと思って食べているから、この世に存在し、誰かによって作られているのだ」
子供は、香りの強いもの、例えばニンジン、ピーマン、ホーレンソウ、メロンなどが嫌いなようである。しかし継続的に我慢して食べることによって、クサヤ、鮒寿司などどんなに臭くて不味いと思っていても、美味しいと思うようになり、好きになっていくのである。今では、父の様々な食の強要について、大いに感謝している。現代では「子供に嫌いな食べものを強要することは、親として良くない」という風潮が強くなっている。
別の例でいえば、左利きの子供を右利きに矯正するのは、最近は良くないとされているようである。しかし、脳や身体的機能の成長を考えると、矯正した方が有利なのである。イチロー、松井秀喜、大谷翔平、村上宗隆など、野球選手に右投げ左打ちの一流選手が多いのは、一塁ベースが近いから有利、という理由だけではないのである。
ムクゲ(木槿)、(宗旦木槿、底紅木槿とも)