(きにいらぬ ちゃわんうれけり なたねつゆ)
一窯で数百個焼けば、ヒビが入ったりして売り物にならないものも当然出る。また、傷はなくとも気に入らないものもある。
ところが、そういう茶碗でお茶を出したら、どうしても欲しいと懇願されることがあるから、世の中面白い。喜ぶべきか悲しむべきか、この人は、「ひとめぼれ」と「あばたもえくぼ」が重なってしまったのだ。
あとで返品されるのではないか、と心配になるが、今のところそういう例はない。つまりそれは、私が気に入らないだけのことなのだ。何事も好みは十人十色。
自分の好みや価値観ほど当てにならないものはない。
ジンチョウゲ(沈丁花)