木立の茂った森や林に入ると、青空は青葉によって封鎖されている。木々は、生きるための見えない闘争を続けながらも、結局はお互いに譲り合って隙間なく葉を広げている。それは実に見事である。勿論、完全に封鎖できるはずもなく、かすかな隙間から漏れる日光が木洩れ日だ。
この句のレンズとは、葉と葉の隙間をレンズと見立て、レンズを通して地面に洩れ落ちた光が、揺らめいている様子を踊っている、と表現している
つまり、「木漏れ日のレンズ」とは、葉と葉の隙間のことであり、「踊らす青葉風」とは、地面の木漏れ日が風によって踊っているのである。
ムラサキシキブ(紫式部)