10月1日。
台風一過。おかげさまで飛行機も時刻表通りの運航となり、スケジュール通りハウステンボスへ行くことができました。
ハウステンボス内も素敵でしたが、まずは目的の「ガーデニングワールドカップ フラワーショー2012 in JAPAN」についてご報告します。
その3回目の今年は、更にフラワーアレンジメントや華道等とのコラボレーションも行い、昨年よりパワーアップしたそうです。
その中から、世界の招待作家による12ガーデンをご紹介します。
ガーデンのテーマは「花と緑で世界平和を!」
会場に入るなり、驚きと感動と喜びの連続でした。
『平和の芽が育つ森』
国内予選で最優秀作品を受賞し、本作に挑んだ寺下弘氏の作品。金賞。
過去、戦(いくさ)の絶えなかった日本の歴史から、焼けた城跡に木々が育ち森になる様を表したガーデンです。
石組みが素晴らしく「最優秀施工賞」の受賞も納得
お堀の流れの中の白い花はうめばち草。赤い花はセンノウだそうで、表側は山野草が多く植えられていました。
石垣の裏側は青と白の花々。イワシャジンやクレマチス、キキョウなど。
表と裏の花色の違いが、面白かったです。
『目をそらさずに、じっと見つめて (Eye to Eye}』
マレーシアを代表するガーデンデザイナー、リム・イン・チョング氏の作品。最優秀作品賞 金賞。
開閉する中心の目の片側は、平和のない地球(地獄)の様子を、目が開いて、3つある目を通り抜けて見えてくるのが平和な世界「楽園」です。
淡い優しい色合いの花々で彩られた楽園の、それは美しかったこと
楽園の中心には、湧水の噴水。奥にはゆったりとしたソファが置かれていました。
『甘味にして適切なり (Duice et Decorum eat)』
フランスのガーデンデザイナー、ジェイムズ・バッソン氏の作品。「平和と花」特別賞 金賞
実際に爆撃を受けたアフガニスタンの様子を再現した庭だそう。
植物はワレモコウやグラスなど、線の細い風になびく植物が多く、荒涼とした風景を髣髴させます。
爆撃を植えたリビングに、飛び散った家具で使えるものを集め、テーブルを囲んでいる風景。
水が穏やかな時間を感じさせていました。
シンプルなのに、ストーリーとハッキリしたイメージが湧くのはデザインの力でしょうか
『床の間ガーデン』
このショーの呼びかけ人でもあり、チェルシーフラワーショウにて三度金賞を受賞している石原和幸氏の作品。
ピープルズチョイス賞 金賞
ご本人も時間があると傍らに立ち、説明や写真に応じていらしゃた人気のガーデン。
「THE 和」に特に解説は必要ないでしょう。作りこまれた和庭園と東屋内の設えが見事でした。
左側には待合も。
そして、綺麗に色付いた紅葉が素晴らしい。9月末に紅葉しそうな木を選んでおいたそうです。
『バタフライ・エフェクト』
イタリアの女性ガーデンデザイナーのジョー・トンプソン氏の作品。銀賞。
昨年長崎の平和公園で見た原爆の跡と、ハウステンボスで見た美しい蝶たちにインスピレーションを受けた「光と影」がテーマとなっているガーデン。
ジャノメマツ、オオタデ、ブッドレア、フヨウなど、大ぶりの植物と、白い砂利や石との対比が印象的でした。
『Garden of Memory 記憶の底に眠る庭』
ロンドンで活躍する日本の女性ランドスープデザイナー、関晴子氏の作品。銅賞。
メビウスの輪のような池のあるガーデンは消滅と再生を表しているそう。
左に見える細い木に吊るされている風鈴が、風に揺らされて綺麗な音色を奏でていました。
ナイトガーデンにおいては、LED電球を用いたボールに明かりが灯り、日本人なら誰しもが思いつく平和の祈り「精霊流し」に。
『ドラゴメッド・ガーデン』
スペインのガーデンデザイナー、ガビーノ・カルパーヨ氏の作品。銀賞。
平和の象徴であるパティオを脅かすドラゴンと、その死(平和を取り戻す)が表現されています。
バルセロナでは雑多な都会生活により、庭でさえ被害を受けている事実があるそうです。
ドライガーデンの植物と白い砂と紫の壁、テラコッタ色のパティオなど、スペインっぽさが沢山
『心穏やか安らかなる庭』
イギリスのガーデンデザイナー、リチャード・マイヤーズ氏の作品。銅賞。
水の流れる壁に囲まれたシンメトリーな庭で、ティ―パーティが開かれています。
庭は静かで穏やかな都市部のオアシス。
『太陽の下の道』
アメリカの女性ガーデンデザイナー、カレン・ステフォニック氏の作品。銀賞。
ナイトガーデンがとても素敵だったのでその写真から。
波打つ壁には水が流れていて、ライトアップするとグ~ンと大人の空間に
アメリカのガーデンでは、こうして椅子やテーブルを置くのが普通だそうです。
赤い花はデザイナーさんがとても気に入ったという彼岸花。
都会的なお庭で記念に一枚
『水がもたらす命の再生。庭の世界平和の願いを込めて』
ニュージーランドの女性デザイナー&マルチアーティスト、ザンティ・ホワイト氏の作品。
最優秀デザイン賞。 金賞。
丁度テレビ取材が入っていました。女性はアナウンサーさんみたい。
壁面緑化の庭です。
ガーデン内も、木製ベンチを囲むように壁面緑化に覆われていて、蘭をはじめとする植物の何と香りの良いことか
中でもうっとりさせてくれる花、クラリンドウ。
『母の裁縫かご』
韓国では公共アートを手掛ける女性デザイナー、ジヘ・ファン氏の作品。銅賞。
銀色の金属のオブジェは針と糸を表現。
韓国も少し前までは、貧しい暮らしの時代があり、その際に生活を支えてくれた母。
何より驚いたのは、このガーデンが1・5mも掘られた沈床(サンクン)ガーデンであることです。
恐るべしハウステンボス。よくぞ掘らせたものだと感心しました
内部には錆びた波打つ鉄板の屋根と、小さな汚れた沢山の靴が。
貧しいけれど幸せだった様子が浮かびました。
最期に、私が一番気に入ったガーデンをご紹介します。
『融合、そして転機』
南アフリカを代表して世界の人々に伝えるガーデンデザイナーの二人、デイビッド・ダビットソン氏&レオン・クルーゲ氏の作品。
銀賞。
高く大きな石の壁に仕切られたこちら側の平和な現在には、南アフリカの花である極楽鳥花をはじめ、明るい色の花や、乾燥に強いグラスなど。
石壁からは水も流れ落ちています。
色合いの違う丸石の塔やクラールという南アフリカの伝統的な柵など、多民族国家を表していて、難し事は分りませんが、バラエティに富んでいるけれど統一感のある、楽しい庭。
しかし、過去は交配した砂漠。
この対比は、とてもインパクトがありました。
どのガーデンも甲乙つけがたく、今まで見てきたガーデンより、はるかにスケールも大きく、作りこみ感も半端なく、素晴らしいものでした
4~6月ごろまでに各デザイナーさんから上がってきたデザイン画を、現実のものにすべく準備し、10日間でデザイナーとともに作り上げる日本の施工業者さんたちにも、感動モノ
なんて言うのかな~、様々な分野で、その道の専門家が、よく「本物を見なさい」って言うの、聞きませんか?
これがその「本物か~」って感じです。
見た瞬間に、分りました。
「目の肥やし」って言葉もありますよね。
今までも何度かそういう機会がありましたが、こんなに効いた肥やしは初めてかも
こんなこと言うと誤解されてしまいそうですが・・・
私の目効き具合は、確実に一つステージを上がったと思いました
私は本家(チェルシーフラワーショー)は観ていません。
なので、一層「日本でこのようなガーデンショウを見ることができてラッキー」だと感じました。
いや~、お金かけて出向いたかいがありました
お値段以上の収穫でした
続く