昨日は、横浜イングリッシュガーデンへバラの歴史のお勉強へ行ってきました。
「中国のバラはアメリカのバラをどのように変貌させたか」と題したグレッグ・ラウアリー氏のトークショー。
「バラの知識でいま彼を超える人はいない」と言われる方だそうだし、国として歴史の浅いアメリカが何故中国のバラと関係するのかしらん
そんな単純な興味本位で出かけました。
しかし、ラウアリー氏のお話は「世界バラ会連合でのセミナーで話した内容とほとんど同じ」との出だしで・・・
アレレそんな権威ある会合での話なの
ムムッ難しいのか
そして、氏は三つの質問を投げかけました
1 Why are the old roses the roses of the wild?
2 Why are the most ancient roses of China the old roses of Europe?
3 Why are the most modern roses of Europe the old roses of China?
「まるで禅問答」とは通訳の御巫さんの言葉。
質問1の答えは、野生で育っているバラの中から、赤い50枚の花弁をもつ「美しい」バラを見つけたのが始まりだから。
そのバラはロサ・ロクズブルギーという中国の野生種(和名 十六夜薔薇)だそうです。
一重咲きの野生種の突然変異ではないか、との事。
バラの魅力は、一に色、そして香り、形、大きさなどあるけれど、より魅力的なのはその歴史です。
と、ラウアリー氏
18世紀に中国からヨーロッパへ4つのバラが渡りました。
それをフランス人やイギリス人がアメリカ大陸に持ってきました。
4つのバラは寒さに弱く、アメリカでは南部でバラが良く育ったそうです。
当時は南北戦争前で、南部の大規模農家が庭で薔薇を育てていたのだとか
(もしかしてレッド・バトラーがスカーレット・オハラに送った薔薇はチャイナローズかも・・・)
チャールストンで(繰り返し咲きの)最初のバラJohn Champneysが作出されたそう。
つまり四季咲き性を持つモダンローズは今まで「ガリカ(ヨーロッパの野生種)×チャイナ(中国の野生種)」と考えらえていたのですが、実はガリカローズはモダンローズの役割は担っていない、との事。
ダマスクローズもムスクローズもどちらも原産地はヨーロッパだと思われていたけど(それは確立されておらず)実は中国のオールドが起源ではないか
というのが 質問2のザックリとした答え。
(マリーアントワネットが育てていたベルサイユのバラはチャイナローズかも・・・)
「バミューダミステリーローズ」や「アメリカで自然交配でできた品種ボルティモアベル」の話など、とても興味深かったです。
そして、そう考えると、チャイナローズの交配が繰り返され、1820年に作出された「ホワイト・ブルボン」こそ最初の現代バラ(HT)になると氏は考えている(というか結論付けている)そうです。
つまりヨーロッパのバラは一つも現代バラに帰依しておらず、中国のバラが独自の発展をしていきただけというわけ。
それが質問3の答えになるのでした。
この今まで信じられていたバラの歴史を覆す考えに至ったのは、中国人の王国良氏が中国の野生種等を絵画や文献から調査したり、[ローズ・ラスラーrustler(バラドロボウ)」と呼ばれるほど多種のバラを採取した結果によるものだそうです。
王国良さんと採取する様子と野生種など紹介するラウアリー氏。
日本人研究者が遺伝子レベルで調査しているそうなので、それも含めて、いつか真実が明らかにされるのではないかしら。
長年ヨーロッパから発信され続けてきたバラの歴史を覆す・・・なんともアメリカン
ヨーロッパからの抵抗はあるかもね。
何だか、国際薔薇歴史ミステリーを聴いているような氏の説に、頭の中がパンパンになってしまいましたが、とても面白かったです
横浜でこのような学術的な話を聴けるなんて、凄く得した気分
セミナー後、参加者とラウアリー氏とで記念撮影しました。
だいたいこんな印象のお話でしたが、間違いに気が付いた方は、ご連絡ください。
ふう~
その後、ガーデンに出て、疲れた脳をリラックス。
話に出てきたオールドローズの十六夜薔薇
YEG内にて自然交配のマリコ・ローズ(仮)
名残りのバラの花吹雪を浴びながら、大アーチをゆくと、気分がスッキリ
夕方のガーデンは人が少なくて、香りを独り占めした感がありました。
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帰りの電車で、セミナーの内容を復習しながら、ついつい妄想が
研究者 ハリソン・フォード
協力する女性庭園主 シャーロット・ケイト・フォックス
日本人遺伝子研究者 ケン・ワタナベ
原種バラを採取する中国人 ディーン・フジオカ
このキャストで、インディジョーンズ張りの冒険ミステリー活劇なんかどうかしらん
ヒール役のフランス人はね・・・
お後が宜しいようで