卍の城物語

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ドライビングミスデイジー

2007-03-09 22:54:43 | 映画
映画100選。第8回。

89年作品。アカデミー作品賞、主演女優賞、脚色賞、メイクアップ賞受賞作。
出演・ジェシカ・タンディ、モーガン・フリーマン、ダン・エイクロイド
監督・ブルース・ベレスフォード

ユダヤ人老婦人と黒人の初老運転手の友情を描いたハートウォーミングヒューマンコメディドラマとでもいうべき作品。

差別が横行していた50年代アメリカ南部を舞台に、事業に成功したユダヤ人一家未亡人のの意地悪頑固婆さんのデイジーが、徐々に運転手のホークに心許していく。

あらゆる偏見を持っていないと自負するデイジーの潜在的差別と意地悪な性格に、主従関係にありながら、時に歯向かい、信頼を得ていく様が楽しい。

お互い老人の、過酷な人生を体験しているからこそ伝わる言葉の重み、そしてまだ尚、お互いに成長していくこころの有り様。
年をとるということが、素晴らしいことであることを教えてくれる。

悲しいことに、デイジーは痴呆症になってしまうが、それでも彼女がホークに「あなたは私の親友よ」と呟くシーンは涙モノだ。

そして、ラストの施設でのやりとりは、なんともいえない不思議な感覚に陥る。老人同士の生と死を超越した友愛の境地。仏様を崇め祭るような有り難い名シーンです。

何よりこの映画は主役二人の名演技に尽きます。
アカデミー主演女優賞を当時80歳の最年長で受賞したジェシカ・タンディの貫禄の演技。
これこそデイジーの人生を表現し得る、激動の時代を生き抜いた女優魂の真価です。
それとモーガン・フリーマンのコミカルな温かい演技。
遅咲きの彼の数ある映画のベストな演技だと思います。特に独特の笑い方は、こっちまでつられて笑ってしまいます。

映画全体に流れる緩やかな時間。でもダルさは全く感じられない。これといった盛り上がりも特に無いが、鮭缶を盗んだシーンが過剰な音楽であざとい演出が逆に笑えます。

とても温かい、年をとることについて考えてしまう、ストーリーと素晴らしい演技に酔いしれてしまう不朽の名作です。

オススメ度(映画評価)・☆☆☆☆