Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

再びの金

2016-08-21 10:32:01 | 日記

 ほら、友達からもう1枚金もらったからあげるよ。

そう言われて目の前に金紙が差し出されたのは、その日の午後だったでしょうか。

気が付くとえーちゃんにも笑顔が戻っていました。

いったい何があったのでしょう?幼い私に分かるはずもありません。

思いがけず戻って来た金紙、あれ、これって本当に真新しい金紙だ!

手の平ににそっと取り上げてよくよく見ても、真っ新な折一つない金紙です。眩しい黄金の光を全面に放っています。

友達から貰ったとは言っていたけれど、女の子から返されたのをまた持って来ただけなのかも、と私は一瞬思ったのですが、これは見れば見るほど輝きが増すような非の打ち所がない完璧な折り紙でした。

さっきの紙じゃ無い、私は思わずごくんと唾を吞み込むと、ぽかんとしてえーちゃんの顔を見るのでした。

「気に入った、じゃあね。」

嬉しいそうな私を後に、笑顔のえーちゃんは元来た方へ戻って行ってしまいました。

 あれれ、私ってフラれたんじゃないのかな?

どうも事情がすぐにはよく呑み込めません。戻って来た、もとい、新しく来た金紙を見て考えてみると、どうやらえーちゃんはまだ私に好意を持っていてくれているようです。

それでは、と、私には気になることができました。

 さっき折り紙が私の手から抜き取られた時、私は一瞬その折り紙を放したくないと思いました。それは折り紙ではなくえーちゃんであったのかもしれません。

手放したくない、その思いが一瞬指にこもったのか親指の爪が金紙にかかり、金紙に小さなくの字の折を付けたようでした。私はハッとしたのですが、えーちゃんは気付かなかったようでそのまま金紙を持って行ってしまったのです。

『確かに折が付いていたようだった。』

そう思うと、その折は私の執着心、嫉妬、物欲、…とにかく一瞬自分に現れた醜い物、悪い心であったように思われてなりません。

再び金紙を手に入れてみると、私は紙に残っているだろう「くの字」が気になって仕様がありません。

この先、後悔の基になるくの字、自己嫌悪の固まりの象徴になるだろうくの字、私は元の金紙を取り戻したくて仕様がなくなりました。

見る人がみれば気付くだろうと考えると、あの金紙を人に見られることは私の恥を見られるようなものだと、恥ずかしくて恥ずかしくて堪らなくなるのでした。

 そこで私は新しい金紙を手にえーちゃんを追うと事の次第を話しました。

「あの金紙に折を付けてしまったから、この綺麗な金紙と交換して欲しい。傷がついた金紙を誰かに上げると悪いから」

と。

今更のような感じでしたが、綺麗な紙ならその方が私が持っているのにはいいだろう、と言うえーちゃんに、無理無理に前の紙の方を私の手元に戻して欲しいと頼み込むのでした。

「あっちの紙の方がいいの、元々のえーちゃんの金紙でしょ。」

とまで言って食い下がるのでした。

あのくの字の折に隠された恥ずかしい私の心を、どんなことで誰かに見透かされたらどうしましょう。

そんな事ばかり考えるのでした。

 

 

 

 

 


その ◯◯マタはどんな動物?

2016-08-21 07:07:16 | 日記

 幸せのキンキラキンで帰宅した私は、家の夕餉で日中の余波を漂わせるのでした。

家族の誰にどんな話をしたか憶えていませんが、とても嬉しいお友達が出来た事、しかもそれがボーイフレンドだという事をほんのり頬を染めて上の空で話していたと思います。

目の前に金銀がちらついていて、ちらついて、夢うつつだった私は、その日の夕刻からの事を何も憶えていません。

  さて、次の日、だったと思いますが、私は再び紙のお礼を言おうとえーちゃんを探します。

「えーちゃん、昨日ありがとう。」

なんのこと

色紙の事

色紙って?

昨日もらった金と銀の色紙よ。

あー、あのお礼今言うの

昨日も言われ無かったっけ?

おやぁ、と、私は思います。

次の日とか次に会った時もまた言うでしょ。

馬鹿丁寧なんだ。

そんな会話を続けている内に、えーちゃんどうしたのかと私は不思議に思うのでした。

なんかあった?

と、聞かずにいられません。

「昨日誰かと話した?」

「ふたまたって知ってる?」

などなど言われて、思い当たることがない私でした。

昨日は家から出ていないので家族以外話す人はいないし、と首をかしげます。

それより、えーちゃんの言う、その『フタマタ』とかいう物がわからないのでした。

「フタマタってなに?」

私は知っている限りの言葉を総動員して考えてみるのですが、思い浮かぶ意味を持った言葉がありません。

そういえば、ネコマタという言葉を聞いたことがある。

「猫のお化け、しっぽが切れているとかいう?」

ああ、それはねこまた。

「猫の好きな食べ物」

またたび。後ろにまたは付かない。

「何まただっけ?」

など他愛ない会話をしている内に。硬かったえーちゃんの態度が和らいできました。

もう少しで昨日の続きの雰囲気になるところでした。ここまで漕ぎ着けたのに、惜しい。

そこでえーちゃんは他の友達に呼ばれて行ってしまいました。

 暫くしてこちらへ帰ってくると、また態度は元に戻っていました。

「昨日の金紙と銀紙返して。」

と言うのです。びっくりでした。

もう貰ったから返せない。元々そっちの物じゃないでしょ、貰ったからもう私の物、本とは僕の物だったでしょ、などなど、返せ嫌だのやり取りが始まりました。

当然私は大好きな色紙の事です、返したくはありません。

また、返すのが惜しくて惜しくて仕様がありませんでした。

大事に色紙袋を脇に抱えて、嫌々している内にえーちゃんが言いました。

「他に上げたい子がいるから、返して。」

これって、この「子」は女の子よね、私はそう考えずにいられませんでした。

 口では嫌だ、絶対に、自分の物になった物だから、嫌!

等と繰り返しながら、内心そうか、私と友達になる前に付き合っていた子が他にいるんだ、と、直感するのでした。

『人の恋路を邪魔するものは馬に蹴られて死んじまえ!』

の言葉をたまたま私は知っていました。

 私が四の五の言いながら返そうかなと思い始めた頃、ふいにえーちゃんは妥協案を提示しました。

「金でも、銀でも、一枚上げるから一枚返して。」

そうね、2枚返してもいいけど1枚はくれると言うなら、と、私はどちらを返そうかと金と銀を袋から出して手に取ると交互に見詰めるのでした。

もちろん、昨日からの判断が付くはずがありません。

すると、早くしろとじれったそうにしていたえーちゃんは

「金でいいよ」

と言ってすっと金紙を持って行ってしまいました。

撮んだ手の中から金紙が無くなって行く喪失感は、えーちゃんとのさよならを意味しているのでしょうか。

手の中に1枚残った銀紙も昨日のような輝きを失ったようで、見つめる私に魅力的な輝きを感じさせることができないでいました。

「銀紙か、やっぱり銀より金よね。

銀1枚になってみると、いい方を手放したという損失感と、今日のえーちゃんの態度の硬変に

しばし呆然とする私でした。


買い物

2016-08-21 05:20:04 | 日記

 昨日は買い物があり出かけてきました

夏ものだったので、もうシーズンOFFで値下がりしています。この時期お得に買えるのですが、その分品数が少なくなり好みの物を見つけにくいのが残念です。

丁度良いものは売れてしまっているので、はっきり言うと安価で低品質、高価で良品質、サイズ違い、不人気の色違い、柄違いしか残っていません。

高価でもある程度値下がりしているので、お買い得には違いありません。

こうなるとある程度柄や色で妥協が必要になります。

今回は色でした。男性用と思うとブルー系が欲しいのですが、夏物だけに寒色系の青がよく出てしまったようです。目につくのはピンク系ばかり、しょうがないので、値段と品で折り合いの付くものをチョイスしてきました。

時節外れに探すからこうなるのよ!と内心必要としている家人の嫌そうな顔を思い浮かべつつブツブツ文句、心の内でこう言うより仕方ありません。

こんな時期に探させられる身にもなってもらいたいというものです。(過去にも何度か時節外れの買い物で嫌気が

 さて、夜になって、

「ピンク嫌なんだけど。

出ました、やはりです、文句が出ました。予想していただけにこちらにも落ち度があるかしらと思いつつ。

「じゃあ昨日見た方のお店でもう一度見てきてあげる。ブルー系があれば買ってきて、今日の物は返品するわ。」

と、車でぶるる…

 やって来ましたもう1件のお店。

売り場はもう知っていましたから即!商品のところへ、夜だもの。

ブルー系がありました、値が安く品も低品質に近い物、結構売れ残っていました。品質の面で最初に外した商品です。

『これでいいや。』

品質が落ちるだけに2、3年物かなと思いつつ購入してきました。

ついでです、念のため進物用の箱物もチェック!

2個組なら色も品質も申し分ないかな、というものを発見。一度に2個か…迷いました。

何年か後には必要になるかもしれません。今買うべきかどうか?

判断に迷う内に決断!

『今回は安価低品質で』

時節外れの買い物の難しさと不満足さを使用者に味わって懲りてもらわなければ、今までは品質に合わせて妥協してきましたが今回は色に合わせて品質は除外です。質の良いものが良いに決まっています。

旬の時期の出盛りにさっさと気に入った物を買うべきだということに、さっさと気づいてほしいものです。大いに反省して人生訓としてもらいたい。いつも私は品質の良いものを選んであげていたでしょう!