それから2日程して、私はまたBさんに、書いて欲しいと言っていたから書いたらと言われます。
直接話したのかと私が聞くと、彼女は人伝だという返事でした。
如何いう情報網があるのか、彼女の顔を見ていると、彼女と誰かと彼の繋がり、
小中繋がりというより園繋がりかなと私は思うのでした。
こんな風に幼馴染の彼女に言われると、私も書こうかなという気持ちが起きるのでした。
「書いた方がいいと思う?」
うんと元気に頷く彼女に、半ば溜め息交じりの私は何を書くのかと聞いてみます。
文集みたいな物?詩とかでもいいの?
彼女はここぞとばかりに身を乗り出して、文でも詩でも、Junさんの書きたい物でいいんだってと言うので、
じゃあ詩ね、と私は言います。
其れなら書けそうだからと。
実際詩なら短くて済むので、時間も掛からず私にはお手頃でした。
私は受験生、過去の彼やこんな事に今更そう時間を取られたくなかったのです。
教室の自分の机に向き直って、私は「サルビアの花」という詩を書き始めました。
赤いサルビアの花、だったかもしれません。
実は、この赤い花の詩は依然見た事がありました。
内容が私のケースと酷似していたので、読んだ時非常に驚きました。
私との体験を、当時、彼がその書いた人に話したのかと思ったくらいです。
しかし、私と彼との体験も事実全くそうでしたから、その部分から詩に書き始めたのでした。
私は直ぐに一応一つの詩を完成させるに至りました。
振り返ると、後ろの席にいたBさんに出来たから読んでみる、と詩を書いた紙を見せました。
Bさんは如何にも喜びに満ちた感じで目を見開くと、その紙を私から受け取り早速読み始めました。
私は紙を読み進めて行く彼女の表情、特に歓喜に輝く彼女の目の光を傍らで眺めて居ました。
最初嬉しそうに目を輝かせていたBさんでしたが、その詩を読み進む内に瞳からは光が失せ、
明らかに失望したという感じで、瞼は彼女の光を失った瞳を覆い始めました。
紙1枚の短い詩の事、彼女が読み終えるのにそう時間は掛かりません。
詩を読み終えたらしい彼女はうな垂れた儘、私から顔を背けると紙を持って立ち上がり、
「じゃあ、これ、見せてくるね。」
と、力なく呟くように言うとその場から立ち去り、其の儘教室から出て行きました。
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