父はいったい私にどんな用があるというのだろう?。私は態々起こされた理由が知りたかった。そこで父に何の用かと尋ねた。すると、そんな私に父はもう分かったから寝ていいぞ、と言うのだった。これは無責任な話だ。私は益々事情が分からなくなって来た。てんで五里霧中だった。そこで、自分は未だ眠りの中にいて、これは夢なのだろうかと疑ってみたりするのだった。
まじまじと目を見開くと、私から顔を背けている父の様子をジイっと窺ってみる。彼を観察する自分の目に、全体像として映って来る父の映像は、…は、…。
やはり目の前の父は私には現実のものと思われた。はてさて、すると何故父は私を起こしたのだろう?。またまた謎は深まるばかりだった。
次に私は、2階での今日の父の行為についてあれこれと考えを巡らしてみた。が、やはり私の胸には、何かしら彼にたいして自分が落ち度を犯した様な、彼の機嫌を損ねた様な、確固たる理由が見当たらなかった。そこで、今朝起きた時から今迄の自分の記憶、その中に有る幾つかの出来事を大まかに辿ってみた。
…?!。無いなぁ。と、私は再度思った。今一度繰り返して思い出してみた。が、さっぱりわやだ、と思う。私は何やら合点のいく出来事にはとんと思い当たらない。
「なぁに?。」
首を傾げ、再度父に尋ねる私だったが、彼は顔を横に逸らしたままだ。その内私の様子を横目で窺い見ると、はあっと短く、いかにも一寸した私への侮蔑を込めたような吐息を吐いてみせると、彼はそのまま私の顔をろくに見もしないで寝ろ寝ろと言い出した。「お前眠いんだろう、もう寝ろ。」。
今迄私の眠りを邪魔して来た父が、打って変わってこの仕打ちに転じたのだ。私は何やら苛立ちを覚えた。私にすると無理矢理に、それでも無理を押して起きたのだ。それなのに、それなのにである、父のこの理不尽な対応である。起こされた理由も分からず、今度は寝ろ寝ろと言われても、疑問を残したまま寝付く気になれ無いのが私の性分だった。
「何なの!?。」
と、今度は私の方が父を責めるようなきついもの言いになった。そうしてむかむかと湧いて来る感情の儘に、父に向かってご機嫌斜めの視線と不愉快な口調を向けた。
「寝ている私を起こしたのはお父さんの方でしょう!。何で私を起こしたの!?。」
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