Jun日記(さと さとみの世界)

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うの華3 16

2020-07-21 14:20:58 | 日記
 「そうか!。」

足元と思しき方向で、父が何やら1人合点したらしい声がした。

 またか…。遠のき始めた意識の中、もう父のこの声は、私の頭の中で霞みの彼方の物になりつつあった。靄に掻き消される父の言葉、もう関係無いと眠りに落ちた私だった。

 おいおい。おいおいと、誰かの声がする。私かしら?。寝てるのか。おい智…、おい。智というからには私だ。如何も私を呼んでいるようだ。ぼんやりとそんな事を思う。

「寝たのか?、起きないのか?。」

この声は父だ。父が私を呼んでいる。そう思う私は半ば眠りの中にいた。気持ち良く睡眠中だったと自分で思う。『起きるのか?』私はぼんやりと聞こえてきた言葉を考えていた。…どうやら、父が私に起きて欲しい様だ。と合点した。私は夢の扉を開く前に現に戻ってきた。

 なあにお父さん?。私は布団に半身を起こし、自分の足元に屈みこむようにして身を低くした父を見やった。お前起きたのかと父が言うので、そうだよと答えた。父は私が時々寝ぼけているからと言うと、如何やらきちんと目を覚ます迄間を置くつもりらしく、暫く黙って時間をみていた。

 頃合いを見て父は言った。

「お前さっき、下にいた時だが、」

と、父は言う。そして、母さんが、お前にするとお祖母ちゃんだが、手に何か持っていると知っていただろう。何を持っているか迄、お前は知っていたのか。と聞いて来た。

 さぁ、と答えた私だったが、でもと、大体分かっていたと答えた。そしてそれは美味しいお菓子で、お祖母ちゃんは私にそれを渡したく無かったのだ、自分で食べたかったのだと答えた。

 父は黙っていたが、ぱくりと口を開けると、視線を横にずらして横目になり思案していた。が、成程なぁと言った。それからも彼は少し考えている風だったが、「やはり母さんの方が正しかったな。」と深く納得したように言った。

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