さて、夏合宿の話に戻ります。
山の中の学校なので、朝夕は涼しく過ごせるというのが魅力でした。
合宿の日程は覚えていませんが、1つの出来事を覚えています。
夏合宿は男女それぞれに3教室位に分かれていて、階上階下での違いもありました。
夜は集団で教室でごろ寝というスタイルの合宿でした。
合宿2日目くらいの夕方の事です、女子の1教室で何人かでテレビドラマを見ました。
教室にはよくある、教壇の横、前角隅の方の高い位置に置いてあるテレビです。
これはどうやら有志でこっそり視聴という物だったようですが、
私は最初に先生の許可を取ってあると聞いていましたから、ずっーとそうだと思っていました。
事の起こりはこうです。
夕方の自由時間に私はHさんIさんとグランドに出て時間を過ごそうとしていました。
その時、校舎の窓から1年の時の友人が、Junさんちょっと、と呼ぶので、何かしらと思います。
私が何?と要件を聞いても、友人の方は一寸と言うだけで他は一切何も言わないのです。
怪訝に思っていると、Hさん、Iさんが、私達の方はいいから行って来たらと言います。
そう、じゃあちょっと行って来るね、と私だけ校舎に戻りました。
こっちこっちと友人に連れられてある女子専用の教室に行くと、
約10人くらいの女子がいたでしょうか、これからテレビを見るのだという話でした。
「皆でタ○ムト○ベラ―を見よう、最終回だもん。」
そうです、この日何回目かの再放送の、最終回が入る日でした。
えッ、ええー!
と私は嬉しい驚きに、天にも昇らんばかりに喜びました。
このドラマは、やはり誘ってくれた友人からかねがね面白いと聞いていたドラマです。
今回の再放送が最後だからといわれ家でずーっと欠かさずに見て来ました。
しかし、最終回のこの日は合宿のある日だったので、
涙を呑んで、所謂後ろ髪を引かれるような思いで家を後にして来たのでした。
○○さんはこれを見るために合宿を休んだんだって。
誰かのいう声が聞こえて来ました。
そうか‼その手があったんだ。
と、私は要領のいい人はそうなんだなぁと感心しました。(本とはずる休みはいけません。)
初めに聞いていれば私もそうするのだったと後悔したくらいです。
それほどに面白く、しかも再放送はこれが最後というキャッチフレーズのドラマ、その最終回です。
ここに集った有志の気持ちが分からないまでもない、いえ、痛いほどに分かる私自身でした。
「そうよね、最後の放送の最終回だもの、分かるわ。」
と、私が言うと、友人の方は何回か見たから、あ、でも、最終回はもう1回見てもいいな。
と言います。
そう、私はこれが初めてだから、尚更最終回は見たかったの。
そんな話を友人としていると、じゃあ点けるねとテレビのスイッチが入りました。
でも、先生に叱られない?誰かが聞くと、ちゃんと許可は取ってあるから、
とテレビの傍近くの子から答えが返ってきました。その子の周りで数人がそうそうと相槌を打つ声も聞こえます。
私もこの疑問は持っていましたが、今のこの答えと、相槌を打つ何人かで、
この集い?の発起人がいる事、先生から許可が下りているのだと解釈し、安心しました。
『良かった、テレビを見るのに差し障りは無いんだわ。最終回が見れる。』
本当にあっけらかんとしました。
明るい日差しが雲間から差し込んだような気持ちで目の前の皆とテレビを眺めました。
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