そうして、再度私が気が付いてみると、何だか急に体が軽くなり思考も視界もすっきりとして見え、頭は段々と冷えてきた感じになりました。更に状態が落ち着いて来ると、私の目に周囲の街並みが入って来ました。そうすると普通に何時もの自分の世界にいるのだと分かって来ました。ここは夢の世界では無いのだと理解したのです。
「あれっ?」
私は辺りを見渡しました。何時ものご近所の道です。先程からの帰宅の延長、家路の途中の路上の上でした。現実の世界にいる私は四肢を投げ出して道の上に座り込んでいるのでした。いつの間に座り込んだんだろうと私は相当不思議に思いました。私はずーっと道の上に立っているのだとばかり思っていたのです。
「どうして私座ってるの?」
しかも汚い道の上に、不衛生だわ、と、当代の世相を子供が見知り、大人が口にしている口調をよく真似て言うように、その時の私もそう言うと、父にこの私の疑問を問い掛けてみました。すると父はさも呆れたというように、お前なぁと言うと、座るどころか転がっていたじゃないか、仰向けになって道に寝てもいただろうと、いかにも小馬鹿にした様ににやにやして私に言うのです。
「私が道で?、寝転がるなんて事、汚いからする訳無いじゃないの。」
と、私が頬を膨らませてぷんと父から顔を背けて言うと、父はほっとした感じでした。父は微笑みさえ浮かべると何時ものお前になったなぁと、何だか言葉少なで屈み込みながら考えている様子でした。
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