何だろう、何を壊したのだろう?と、登山途中のことを考えてしまいました。思い当たるとすれば、登りの時に急角度で気合を入れて鎖を引っ張り、「えいえい」とばかりに体重をかけて思いっきり鎖をジャラジャラいわせると、鎖だけでなく鎖を繋いだ杭にもそうとう負担をかけて登って来た事でした。それでも、鎖や杭の衝撃の事を考えて、私は確りとそれらの様子を観察し、私の勢いや体重にもびくともしないその強度を確認していたので、何処かが壊れたという事が何だか不思議に思えるのでした。また、そうはいっても、私の気が付かない所で杭が外れたり、鎖が壊れたりしたのだろうか?、と不安になりました。
私は困りましたが、してしまったものは仕様が無いと諦めました。彼の傍に行って請求額を聞くかなと、そう思って彼を見つめると、彼は手に持っていた紙をするっと風に乗せて後方へ流してしまいました。彼の手から紙が無くなってしまうと、どうやら、請求の話ではないなと私は考え直しました。
何でしょう?何時の頃からかサングラスを外してしまった彼の深く美しい青い瞳を見ながら考えてしまいます。金髪に青い目か…。プレイボーイの代名詞その物のような彼の容姿です。と、ここで、私は自分の服装に思い至りました。赤いTシャツに赤いズボン、指に指輪は無し。と、自分の指を広げてハッとします。私の年齢で指輪が無いという事は、しかも上から下まで赤一色。
『有閑マダムに間違われているんだわ。』
ショック!でした。でも、一応下のズボンはホームウェア、上の服にしても古び過ぎない程度の着慣れたTシャツでした。お金があるようには見えないはずなんだけど…。と私は考え込んでしまいました。彼の真意が全く分かりません。でも、多分この赤い服装に魅かれて彼は私を呼ぶのだろうと思いました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます