「さっきのお前は本当に変だったぞ。」
と父は言うのですが、『変?』そう言われても私には覚えがないのでした。何が変なのかと父に尋ねると、私が暴れたり父に叩く蹴るの乱暴をしたりしたのだと父は言うのです。私には全然そんな記憶は無いのでした。
「変な事を言うお父さん。」
私そんな事しないわ。しかめっ面をして私が父にそう言うと、父の方は再び呆れたという感じで嘆息すると、「まぁ、如何でもいい事だがな、お前についてはちょっと考えた方がいいな。」そう言うと父は家に帰ろうと私を促し、静かに歩き出しました。
それは可なり緩い歩みでした。私はその父の歩みに合わせてゆっくりと歩き出しました。気遣う様な父と、よちよち歩きの私は並んで歩き、家への帰途を和やかに歩んで行きました。
翌日、好天に恵まれたせいもあって、私は1人で何時もの蝶の捕獲場所、昨日の空地へと勇んでやって来ました。今日もきっと蝶を捕まえる事が出来る、私はそう思って胸を躍らせていました。何故なら今までの私の遊び等の経験から言うと、1度出来れば続いてすぐにもっと上手に出来る様になるからでした。蝶取りもそうだとばかり思っていたのです。空き地には既にひらひらと数匹の蝶が舞っていました。
いたいた、嬉しく思いながら私は辺りを見回して、花に止まっている蝶を見つけると昨日の様にそ―っと近付くのですが、事はそう上手くは運びませんでした。その日の私は天候と同じく、最初は気分よく始めた蝶取りでしたが、全然収穫無しでした。蝶は近付くだけですぐに飛び立って遠くへ行って仕舞うのです。私はがっかりしました。失敗続きに焦って躍起になると、私はキーっとばかりに蝶を追いかけて、空き地の中をあちらこちらと走り回っていました。
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