Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

土筆(113)

2018-06-26 13:54:54 | 日記

 「いやいや、叔父さん、お前達女子供の事も馬鹿にしてはいないよ。」

彼は姪に言い当てられた心の深部に何となく思い当たりながら、自分の後ろめたさを隠す為、真顔で朴訥として、ゆっくと姪に答えました。すると姪の方は気乗りなさそうに「そう」とだけ返事をすると、ふふっと含み笑いをしました。それから叔父に対して面白そうに言い掛けました。

「でも、とても話し上手な叔父さんが、今みたいな話し方や顔付をするという事は」

「もういい加減にしろ。」

妹の声を遮って、奥から次兄の怒った声が響いて来ました。2人が思わず声の方向を見ると、居間に続く戸の向こうからこの家の次男が現れました。彼は両手で湯呑を持っていました。

「お前、叔父さんに逆らうような事を言って、如何いうつもりなんだ。」

そう彼は言うと、静かに妹を諭すようにその態度を改めろと彼女に話し掛けました。彼は次に真面目な顔で叔父に妹の非礼を詫びるのでした。

「叔父さん、妹が失礼を言いました。兄の僕の方からお詫びします。」

そら、お前もちゃんとお詫びするんだ。そう兄が言うと、今日の妹は何時になくぷんとして、無言のままで彼の言う事を全く聞く気配がありません。そこで彼は、叔父さんに失礼だっただろう、お前、今生意気な事を言い掛けていたじゃ無いか、等、再三妹にそう言って聞かせるのですが、今回の妹は非常に頑固で頑なな態度を崩しませんでした。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿