この言葉に、彼の方は泣いている従姉妹に向かって歩い行くと二言三言小声で何か言っていましたが、それ以上誰に何言うという事も無く、争う気配も全く無く、何事も無かったように私達の側から身を引くと、先程の連れの男の子達が去った方向では無く、私達が来た門の方向に向かって無表情で歩き出しました。
「女相手に真面に喧嘩する程やわじゃ無いよ。」
「僕は男なんだからな。」と、捨て台詞とも取れる様な言葉をびしっと残すと、彼は堂々とした足取りで去っていきます。彼は石碑の側を通る時、傍にいてきょとんとして立っていた年下の男の子を行こうと誘い、その子を従えて共に広場から出て行く気配です。
「…ちゃん、一寸待っててね。私あの子達に聞きたい事があるから。」
従姉妹は不意に私にそう言うと手で涙を拭いました。「付いて来ないでね、此処で待っていてね。」と、また指示するように念押しすると、彼女は振り向いて彼等の傍まで早足で駆けて行きました。
『何の話があるのだろう?』喧嘩しているのにと、私は不思議に思いましたが、自分より年上の従姉妹がそう言うので、そのままそこで静かに佇み彼女を見守りながら待っていました。彼等とは5、6メートル程しか離れてい無かったので、私にも彼らの話声が時折聞こえて来ました。
「さっきの態度の話だけど、私の。」従姉妹の声が聞こえます。誰がそう言い出したの?、あなたなの?、誰が最初にそう言ったのかを聞いているのよ。畳みかける様に質問する彼女の声が聞こえてきます。「教えて頂戴。」と。
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