私たち三兄弟が二姉妹のもとを訪問したことはすこし前(9/29)に書きま
したが、その時頂いた羊羹の話を少々。
二姉妹、と書くのも味気ないので清(きよ)ちゃん(姉)、幸(さっ)ちゃん(妹)
と呼名で書きます、その方が気持ちに通ずるものが出てきます。その清ちゃ
んからお土産にと「虎屋の羊羹」をいただいたのでした。
今朝、食の後お茶にしながら、羊羹を食べようと仏壇をみると一つもあり
ません。箱に残しておいた分を食べ終わり、仏壇に供えたものまで頂いてし
まっていたのでした。少し長めの親指ほどの箱入れ羊羹、五種類が二組づ
つ入っていましたが、ほとんで私が食べたのでしょう。
口さびしく、食べるかわりに羊羹の俳句でもと、『甘味歳時記 お菓子俳
句ろん』 なる本を開きました。 以前横浜のある古本屋で手に入れたもので、
鶴見の和菓子舗清月の主人の菓子と俳句についての深い造詣を示してい
ます、その十月の章の「柿と栗と羊羹」。
「秋の季語には菓子の類が少ない。~ 通常見られる菓子で秋の季語と
なっているものに栗羊羹がある。 栗羊羹に季感なしとする向きもあるが……
上菓子として意匠を凝らした栗羊羹には充分に秋を感じることができるはず
だ」 とあり、句として
栗羊羹に栗の少なき場末かな 江風
そして「現在では羊羹といえば煉羊羹をさすことが多いが、明治までは蒸
羊羹が一般的であった。~ 蒸羊羹の甘味が淡く、食べごたえのある感じは
秋にぴったりで、秋から年内一杯よく売れるが、正月になると急に売れなくな
るのが不思議」と書かれています。
因みに『角川 俳句大歳時記 秋』には「基本季語」に掲げられていながら
例句がないのはさびしい、江風の句を書き加えておきました。
手土産を渡される時、清ちゃんが 「これはお母さんが好きだったのよね」
と言われました、私はそのことを知りませんでした。