本屋の本棚でモーパッサンの 『女の一生』 を探しながら、なぜその本を見
たくなったのかと、ちょっと考えました。 それはあるブログの金子みすゞ童謡歌
曲のコンサートの紹介を見て本棚にあった 『金子みすゞ童謡集』(ハルキ文庫)
を手にしたことがきっかけです。 その裏表紙に書かれている 「悲運の果てに若
くして命を断った天才童謡詩人」 の「悲運」に目が引かれたのです。
彼女が自殺をしたことはこの本を読んだ時に事実としては知ったのですが、あ
らためて彼女の短い生涯の概略を読んで、自殺に至る経緯の持つ意味を考え
なければ、と思いました。
それが、なぜモーパッサンの 『女の一生』 なのか。
中学の三年だったか、夏休みの宿題で一冊の本を読んできて、その感想をみん
なの前で報告する、というのがあり選んだのが 『女の一生』 でした。 どういう考え
でそれにしたのか全く覚えがないのですが、好きになり始めた人の前で恋とか結婚
とか(かなり早手回しでしたが)、性とかについて「堂々」と語れるチャンスだと思った
のかもしれません。
読んだ感想は衝撃でした。 ひと組の男女とくに夫婦という組み合わせにおける男
性の相手への影響・役割についてその年代らしい真面目さで受け取りました。 そん
な意味のことをしゃべった記憶があります。
みすゞというより本名テルの自殺と夫なる人のこと、そしてその時代の一般的な夫
婦の成り立ちについて知ることと、彼女の詩の世界を理解することと無縁ではないよ
うに思えるのです。