いただきました茶千さんのコメントでいわれている金子みすゞの詩・「露」
露
誰にもいわずにおきましょう。
朝のお庭のすみっこで、 花がほろりと泣いたこと。
もしも噂がひろがって 蜂のお耳に入ったら、
わるいことでもしたように、蜜をかえしに行くでしょう。
ひとりの作家の全作品を「ワールド」とよく言います。 松本清張の場合を
「清張ワールド」 などというように。 金子みすゞの場合を “みすゞコスモス”
と称しているのは佐治晴夫さん・宇宙物理学者です。
詩が読む人に拓かせてくれるものは、普段見えないもの、見ていないも
のの存在に気づかせてくれる、まさに科学者の役割です。 「薔薇の根」 と
いう詩は 「紅い大きな薔薇」 を賛美する私たちにその根のつぶやきを聴
かせてくれます。 見えないけれどあるものによって見える物は存在してい
ることを教えてくれます。