ここは「心のなかも」とするべきでしょう。
朝からどんより、「仕事」中に小雨、急ぎもどり朝食そして仮眠……が、寝込む。
午後に入って起こされる、憂鬱。
そんなときの「詩」であってほしい。「詩」の魅力は「曇りや雨心」を晴らすこと
ではなく、梅雨時が大切な時期と同じように、憂鬱や気分が優れないことも人
の生活のなかで重要なことだということを心の中に礎石として置くことにある、
と蛙としては分かるのです。
梅雨空や喪主となる娘の髪長き 鈴木 節子 (飯田龍太『鑑賞歳時記 夏』)
青梅の尻うつくしくそろひけり 室生 犀生 (『癒しの一句』六月十日)
鎌倉の家の實梅の落る頃 高濱 虚子 (『虚子一日一句』六月十五日)
世の中は夢か現か現とも夢とも知らずありてなければ
よみ人しらず (『古今集』巻十八 雑歌)
(『折々のうた 三六五日』六月十一日)