お馴染みの小学校唱歌「故郷」の一節に
「志を果して いつの日にか帰らん」とあります。ゲストの酒井奈保子さんの話と出身地だという鹿児島県の大隅からこの歌詞が浮かびました。
40年位前の高校生であったとき、障害者のスポーツ大会にボランティアとして参加してこの人たちがスポーツに取り組む姿勢に大きな感銘を受けます。そして障害者のためになる仕事をしたいという思いを抱くことになったのです。
酒井さんはその高校が大隅とは言っていませんから私の推測ですが、故郷の高校時代の強い思いが今日の酒井さんの障害者の就労支援事業となっているのです。
ここから私の発想は唱歌「故郷」の一節へと飛んでしまいました。この一節は立身出世への思いを歌っているのだ、ともいわれます。勿論歌詞から色々な思いが受け取れます、私の理解もその一つに過ぎないのですが、酒井さんの若々しい姿を見て、その話を聞いて青春の思い、志を果たしつつあることと感じました。
この八月、多くの人が故郷との絆を深める機会があったことでしょう。そして多くの場合故郷と自分の思春期とが一体になっていると思います。過ぎた思春期にどのような志を抱いたか、異性に対する淡い思いなどと一緒になって甦って来るのが故郷でもあります。
「いつの日にか帰らん」も志の検証の場としての故郷と読むこともできます。そして現在の己がその検証に応えられるものであれば「わが人生に悔いなし」と言えるのではないでしょうか。
故郷をそういう場として気づかせてもらえたことは、いつもながら「てんがらもん」の魅力だと思います。
酒井さんの事業はすでに娘さんという次の世代をも、有馬さんなど身近な人々をも支えとして発展しつつあります。障害者の仕事に就きたいという希望は、社会と積極的に繋がりたいこということであり、地域の人々が変わる契機にもなるとの話は事業に取り組んでいる人ならではの実感として印象に残りました。