番組は、
http://www.ustream.tv/recorded/106728998
全句と入選から特撰別はこちらの村永さんのブログで読めます。
http://blog.goo.ne.jp/tengaramonn/e/7abcfec298df003f66e78992e1b924f9
今日の「てんがらもんラジオ」の川柳教室に寄せられた40ばかりの句を目にしますと浴衣が作り出すひとつの雰囲気・ワールドが感じられます。それで久しぶりに俳句歳時記を開き浴衣を当たってみました。
浴衣の語源は湯帷子(ゆかたびら)で、湯帷子は入浴の時に身を拭(ぬぐ)うことをかねて着たもので、夏だけに限られたものではなかった。室町時代の末から江戸時代の初期に入り庶民の間に盆踊りが流行すると、湯あがりだけでなく、普段に浴衣を着るようになった。これが揃い浴衣で盆帷子・踊浴衣といわれた。(略)夏の夕、性別年代を問わず浴衣と団扇、下駄ばきで祭や夜店をそぞろ歩きする姿は、かつて日本の風物詩だった。(あと略)
歳時記の例句に、
浴衣だけ着てみる遠き笛の音 林翔
祭囃子の笛が聴こえてきて、出かけるわけではないが、しばらく寛いだ気分でと、浴衣に着替える。
それが日本人感覚でしょう。
夕日あかあか浴衣に見透き日本人 中村草田男
とはいえ今日の川柳のなかに、
やまいもほったさんの
青い目につんつるてんの浴衣掛け
があるように、浴衣は日本人専用ではありません。祭の場なのか温泉街の光景かわかりませんが、外人が外出に浴衣を選んで着て出たのでしょう。
見慣れた浴衣姿にオヤと思わせる者は、
浴衣がけサンダル履きの子もいます ひげ爺さん
サンダル、各種の靴などなど若い者の浴衣姿では足下まではセットになっていないようです。その辺を詠みこむのは川柳の得意とするところでしょう。
それでもこんな川柳をみますと、
夏祭り鼻緒の痛さうれしくて 池田のぞみ
全国高校生川柳コンクールの作品ですが、池田さんの言葉
「年に一度着るか着ないかの浴衣を着て、さらに慣れない下駄(げた)で自分が歩きたい人と一緒に歩いているシーンです。何気ないこのシーンの中には、長い時間歩いて鼻緒は痛いけれども、その分一緒に過ごせているといううれしさが詰まっています。」
若者の気持のなかにも浴衣姿が生み出すくつろぎと同時に、ほのかな色香は確かに伝わっています。
今日の特撰は浴衣ならではの一句です。
抱きとめたゆかたの君は香り立つ 田舎もん
高浜虚子の句 浴衣著て少女の乳房高からず