花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

「パリを愛した画家たち」展

2006-03-13 01:37:58 | 展覧会
大丸ミュージアム(東京)「パリを愛した画家たち」展を観た。
http://www2.daimaru.co.jp/daimaru/hp/pc/museum_schedule_to3.jsp?HP_NO=14707

エコール・ド・パリと称される20世紀初頭のパリに集った東西(日本画家も含む)の巨匠作品が中心だが、現代に至る画家作品も多い。全体的に写実味のある色彩豊かな作品が多かったので、ゆっくりとくつろいで観ることができた。なにしろこのコレクションは健康保険南海病院所蔵だそうで、患者さんたちの眼も楽しませているのだろう。

展示はシャガールの濃青の夜空に赤い月が印象的な「母と子」を始め、ルオー、ユトリロ等や、藤田嗣治、梅原龍三郎など、多彩で幅広い作品で構成されていた。初めて知る画家も多く、ポール・アイズピリの「ヴェニス」の明るい光に溢れた色彩と伸びやかな筆致など、ヴェニスの陽射しと潮の香りを思い出させてくれる素敵な小作品だった。

さて、その中でも一際目を惹いたのは、白い花瓶からこぼれるように咲き誇る目も眩むような鮮やかな黄金色のミモザ!何と言ってもモイーズ・キスリングの「ミモザ」は圧倒的な迫力に満ちていたのだ。背景は深い濃淡の青。ミモザは黄色く小さなまあるい花々がぽつぽつと盛り上がった絵具点描。この濃青を背景に黄色い花粒の繚乱織り成すハーモニーをじっと眺めながら、ゴッホの「ひまわり」を想起してはいけなかっただろうか?

もう1枚、強く眼を惹かれた作品があった。展示の後半は日本人画家作品によるもので、そのなかに「薔薇」をテーマにした作品が並んでいた。そのなかで特に印象的だったのが濃厚な薔薇の香りまで漂ってくるような朝井閑右衛門の「薔薇」だった!厚く塗り込められた豊饒で妖艶な薄紅色の階調は他を圧して薔薇そのものだった。もしかして薔薇狂いの画家かもしれない(?(^^;;;)。久々に心惹かれる日本の画家に出会った、と思った。

それにしても、先入観無しで観る展覧会は楽しい。まっさらな好奇心に飛び込んでくる色彩と造形は新しい好奇心を触発してくれるのだから。
ところで、つくづく思うに、これだけのコレクションを集めてしまう南海病院もやっぱり凄いよね(・・;)