先月、三井記念美術館で 「京焼の名工~永楽保全・和全~」を観て、さて帰ろうとエレベーターに向かう途中の廊下壁に他美術館の展覧会ポスターが貼ってあった。出光美術館の絢爛たる「日月四季花鳥図屏風」の隣に良く似た構図の「四季花鳥図屏風」が並んでいて、思わず目が奪われる。ん?板橋区立美術館 「これが板橋の狩野派だ!」展のポスター…。
ということで、さっそく高島平の奥に足を伸ばしてしまった。あんな辺鄙な山奥に美術館があったなんて驚き(^^;;;。でも、手作りの暖かさを感じるアットホームな雰囲気の美術館で結構気に入ってしまった(^.^)
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/art/schedule/e2006-01.html
さて、何と言っても座敷コーナーには驚いた!畳座敷に展示屏風が置いてあり、鑑賞者は座布団に座りながらしみじみ拝見できるのだ。もう、これは貴重!!畠山記念館も掛け軸は座って見られるが(座布団がほしいなぁ)、屏風は今回が初めてで、実際に近寄ったり、立って見たり、当時の人々がどのように屏風と向き合っていたかを追体験したような気分だ。このガラス無しは東京国立博物館「プライス・コレクション展」の最後にもあったが、座敷で間近という点では板橋は偉い(笑)。
河鍋暁斎の「龍虎図屏風」なんて奥正面に鎮座していたのだが、ずずっと近づいて行き、普通のお宅の屏風拝見っていう感じで全然堅苦しくない。筆捌きの勢い、墨の濃淡など、顔を近づけながら見入ってしまう。暁斎はケレン味のある作品が多いが、この屏風図は狩野派らしさを感じる真っ当さ(?)がある。画面いっぱいにお互い挑む龍と虎も劇画調ではあるがお見事。
で、問題の「四季花鳥図屏風」は若干のディテールの違いはあれど、桜と雉など室町時代の構図を踏襲しているようだった。狩野派にしては繊細優美な画風であり、おとなし過ぎるんじゃないかと思った。なんだか同じような構図の屏風が並ぶ。素人目だが、やはり出光作品の方が退色にもかかわらず絢爛パワーで勝るような気がする。
展覧会の解説によれば、狩野派は先生のお手本をせっせと模写することが奨励されていたようで、画一化された様式と画題のなかで、ヴァリエーションをつけながら注文に応じていたのだろう。将軍家お抱え絵師であるから、武家好みの勇壮な絵がイメージされていたのだが、結構そのパターンも多肢にわたっているのが興味深かった。でも、弟子たちにはお手本模写を長期に修行するのは酷だったんじゃないかと、ちょっと同情してしまう。本当に力があって個性的な絵師は狩野派を飛びだすだろうね、きっと。
勇壮な狩野派と言えば、ブリヂストン美術館「雪舟からポロックまで」に出ていた狩野典信の金地に描かれた「墨松墨梅図屏風」も素晴らしかった!狩野派らしい豪快な筆さばきの墨松と、清冽な芳香を放つが如き墨梅。狩野派についてあまり知らない私にもとても気に入った作品だった。この典信と殆ど同時代の丸山応挙「牡丹孔雀図」も一緒に展示されていたが、こちらは色彩も美しく、写実の応挙らしい華麗な作品。多分、近々三の丸でも同主題作品が見られそうでこちらも楽しみ。
話を板橋の展覧会に戻すが、座敷コーナーだけではなく、通常展示コーナーも狩野派作品が並び、幕府お抱えの一大流派らしくその人脈や作品の裾野の広さが一覧できる。驚いたのは男性的なイメージの狩野派にも女性絵師がいたことで、その清原雪信は「納涼図屏風」の久隈守景の娘だったことを先日の新日曜美術館で知った。実人生は別にして、作品には繊細な穏やかさが見られたのだが…。
実は板橋の展覧会作品リストが見えなくなり、記憶を手繰り寄せながらの感想なので、記憶違いや間違いがありましたらご指摘をば、ぜひ(^^;;;
ということで、さっそく高島平の奥に足を伸ばしてしまった。あんな辺鄙な山奥に美術館があったなんて驚き(^^;;;。でも、手作りの暖かさを感じるアットホームな雰囲気の美術館で結構気に入ってしまった(^.^)
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/art/schedule/e2006-01.html
さて、何と言っても座敷コーナーには驚いた!畳座敷に展示屏風が置いてあり、鑑賞者は座布団に座りながらしみじみ拝見できるのだ。もう、これは貴重!!畠山記念館も掛け軸は座って見られるが(座布団がほしいなぁ)、屏風は今回が初めてで、実際に近寄ったり、立って見たり、当時の人々がどのように屏風と向き合っていたかを追体験したような気分だ。このガラス無しは東京国立博物館「プライス・コレクション展」の最後にもあったが、座敷で間近という点では板橋は偉い(笑)。
河鍋暁斎の「龍虎図屏風」なんて奥正面に鎮座していたのだが、ずずっと近づいて行き、普通のお宅の屏風拝見っていう感じで全然堅苦しくない。筆捌きの勢い、墨の濃淡など、顔を近づけながら見入ってしまう。暁斎はケレン味のある作品が多いが、この屏風図は狩野派らしさを感じる真っ当さ(?)がある。画面いっぱいにお互い挑む龍と虎も劇画調ではあるがお見事。
で、問題の「四季花鳥図屏風」は若干のディテールの違いはあれど、桜と雉など室町時代の構図を踏襲しているようだった。狩野派にしては繊細優美な画風であり、おとなし過ぎるんじゃないかと思った。なんだか同じような構図の屏風が並ぶ。素人目だが、やはり出光作品の方が退色にもかかわらず絢爛パワーで勝るような気がする。
展覧会の解説によれば、狩野派は先生のお手本をせっせと模写することが奨励されていたようで、画一化された様式と画題のなかで、ヴァリエーションをつけながら注文に応じていたのだろう。将軍家お抱え絵師であるから、武家好みの勇壮な絵がイメージされていたのだが、結構そのパターンも多肢にわたっているのが興味深かった。でも、弟子たちにはお手本模写を長期に修行するのは酷だったんじゃないかと、ちょっと同情してしまう。本当に力があって個性的な絵師は狩野派を飛びだすだろうね、きっと。
勇壮な狩野派と言えば、ブリヂストン美術館「雪舟からポロックまで」に出ていた狩野典信の金地に描かれた「墨松墨梅図屏風」も素晴らしかった!狩野派らしい豪快な筆さばきの墨松と、清冽な芳香を放つが如き墨梅。狩野派についてあまり知らない私にもとても気に入った作品だった。この典信と殆ど同時代の丸山応挙「牡丹孔雀図」も一緒に展示されていたが、こちらは色彩も美しく、写実の応挙らしい華麗な作品。多分、近々三の丸でも同主題作品が見られそうでこちらも楽しみ。
話を板橋の展覧会に戻すが、座敷コーナーだけではなく、通常展示コーナーも狩野派作品が並び、幕府お抱えの一大流派らしくその人脈や作品の裾野の広さが一覧できる。驚いたのは男性的なイメージの狩野派にも女性絵師がいたことで、その清原雪信は「納涼図屏風」の久隈守景の娘だったことを先日の新日曜美術館で知った。実人生は別にして、作品には繊細な穏やかさが見られたのだが…。
実は板橋の展覧会作品リストが見えなくなり、記憶を手繰り寄せながらの感想なので、記憶違いや間違いがありましたらご指摘をば、ぜひ(^^;;;