梅雨空のせいか体調があまり良くない日々が続いていたのだが、この前の土日は久々に調子良く美術館巡りをすることができた。
まずは三の丸尚蔵館「京焼多彩なり-明治から昭和へ」。
江戸時代前期から中期に全盛を誇った京焼の伝統を引き継ぐ明治から昭和の名工たちの作品が展示されており、名品のなかに京の美意識というものが変らずに流れていることをしみじみと見たような気がする。
展示は初代乾山伝七《草花文花瓶》から始まった。金彩を施した大きく華やかな花瓶だが、四季の花鳥をうっとりするような繊細な色使いで全面に散りばめた雅さは、やはり京焼ならではの趣だなぁと眺めてしまう。
初代乾山伝七《草花文花瓶》
で、実は今回の展示作品で私の目を惹いた作品は仁清の遺伝子を継いでいるものが多かった。初代伊東陶山《蝶尽卵形合子》なんて、見たとたん、仁清みたい!と思ったほど。卵形の合子は極小さな蝶が全面に描かれ、まるで文様のように見える。傍らに合子を開けた内部のカラー写真が置かれていたのだが、クリーム色の地に薩摩風に草花が品良く描かれていて、これなら家に置いてもいいなぁ、などと思ってしまった(^^ゞ
仁清と言えば、楠部彌弌《色絵丸文白椿茶碗》は黒地の丸く円を抜き、その中に椿を描いている。これって、確か仁清の茶碗にあったデザイン!仁清のは文様が描かれていたよね。この楠部彌弌って初めて知った作家だけど、《青華甜瓜文菱口花瓶》も《白磁彩埏飛翔花瓶》も、轆轤使いの名手だった仁清を髣髴するようなエレガントな造形に、瀟洒な絵付けを施し、多分、仁清を凄く意識していた作家だったに違いないと思う。今回の展覧会でこの楠部彌弌を知ったことは大収穫だった。
まさに仁清写しの作品もあった。五代清水六兵衞《仁清写藤花図茶壺》は熱海AMO作品を写したもの。藤の花の銀彩の筆致なども見事に写して、やはり画家だけでなく陶工作家たちも先人たちの作品から多くを学んでいることを知った。
六代清水六兵衞《古稀彩春魁花瓶》《古稀彩秋叢花瓶》は琳派を現代風にアレンジした意欲作と見た。雅趣もあって面白い。春の梅、秋の萩の大胆な装飾技法。琳派の意匠は今でも京都に脈々と流れているのだろうなぁと思う。実は、その後に東京国立近代美術館に行ったのだが、嬉しくも加山又造《春秋波濤》を漸く観ることができた。そこでも、京都生まれの加山の中に流れる琳派の伝統をヒシと感じでしまったのだった。
六代清水六兵衞 《古稀彩春魁花瓶》 《古稀彩秋叢花瓶》
ぐるっと作品を観て、さて、会場中央…陳列ケースに収まり目を奪ったのは三代清風與平《旭彩山桜花瓶》。白く彫り込まれた山桜が花曇のように淡い桜色の諧調の地色から浮き上がる。春のおぼろげな夢のような世界に誘う素敵な作品だ。中国や朝鮮の古陶磁を意識したものなのだろうか??私の記憶もおぼろげなのだが、前に東博でも観たことがあるような??すべては桜色の春霞のようだ(笑)
三代清風與平《旭彩山桜花瓶》
古陶磁と言えば、青磁作品も何点か展示されていた。が、私的にどうしても納得できるものが無かった。人の好みというのはそれぞれであるし、私自身にも青磁のイメージがある。たっぷりと釉薬のかかった砧青磁が好きので、今回の青磁には欲求不満が残ってしまった。そのため、翌日は静嘉堂文庫に行ってしまうというオマケもついた展覧会でもあった(^^;;;
しかし、言うまでも無く、ここ(尚蔵館)に展示されていた作品は超一級の作品ばかりだし、後期も今からわくわくしながら楽しみにしている。
まずは三の丸尚蔵館「京焼多彩なり-明治から昭和へ」。
江戸時代前期から中期に全盛を誇った京焼の伝統を引き継ぐ明治から昭和の名工たちの作品が展示されており、名品のなかに京の美意識というものが変らずに流れていることをしみじみと見たような気がする。
展示は初代乾山伝七《草花文花瓶》から始まった。金彩を施した大きく華やかな花瓶だが、四季の花鳥をうっとりするような繊細な色使いで全面に散りばめた雅さは、やはり京焼ならではの趣だなぁと眺めてしまう。
初代乾山伝七《草花文花瓶》
で、実は今回の展示作品で私の目を惹いた作品は仁清の遺伝子を継いでいるものが多かった。初代伊東陶山《蝶尽卵形合子》なんて、見たとたん、仁清みたい!と思ったほど。卵形の合子は極小さな蝶が全面に描かれ、まるで文様のように見える。傍らに合子を開けた内部のカラー写真が置かれていたのだが、クリーム色の地に薩摩風に草花が品良く描かれていて、これなら家に置いてもいいなぁ、などと思ってしまった(^^ゞ
仁清と言えば、楠部彌弌《色絵丸文白椿茶碗》は黒地の丸く円を抜き、その中に椿を描いている。これって、確か仁清の茶碗にあったデザイン!仁清のは文様が描かれていたよね。この楠部彌弌って初めて知った作家だけど、《青華甜瓜文菱口花瓶》も《白磁彩埏飛翔花瓶》も、轆轤使いの名手だった仁清を髣髴するようなエレガントな造形に、瀟洒な絵付けを施し、多分、仁清を凄く意識していた作家だったに違いないと思う。今回の展覧会でこの楠部彌弌を知ったことは大収穫だった。
まさに仁清写しの作品もあった。五代清水六兵衞《仁清写藤花図茶壺》は熱海AMO作品を写したもの。藤の花の銀彩の筆致なども見事に写して、やはり画家だけでなく陶工作家たちも先人たちの作品から多くを学んでいることを知った。
六代清水六兵衞《古稀彩春魁花瓶》《古稀彩秋叢花瓶》は琳派を現代風にアレンジした意欲作と見た。雅趣もあって面白い。春の梅、秋の萩の大胆な装飾技法。琳派の意匠は今でも京都に脈々と流れているのだろうなぁと思う。実は、その後に東京国立近代美術館に行ったのだが、嬉しくも加山又造《春秋波濤》を漸く観ることができた。そこでも、京都生まれの加山の中に流れる琳派の伝統をヒシと感じでしまったのだった。
六代清水六兵衞 《古稀彩春魁花瓶》 《古稀彩秋叢花瓶》
ぐるっと作品を観て、さて、会場中央…陳列ケースに収まり目を奪ったのは三代清風與平《旭彩山桜花瓶》。白く彫り込まれた山桜が花曇のように淡い桜色の諧調の地色から浮き上がる。春のおぼろげな夢のような世界に誘う素敵な作品だ。中国や朝鮮の古陶磁を意識したものなのだろうか??私の記憶もおぼろげなのだが、前に東博でも観たことがあるような??すべては桜色の春霞のようだ(笑)
三代清風與平《旭彩山桜花瓶》
古陶磁と言えば、青磁作品も何点か展示されていた。が、私的にどうしても納得できるものが無かった。人の好みというのはそれぞれであるし、私自身にも青磁のイメージがある。たっぷりと釉薬のかかった砧青磁が好きので、今回の青磁には欲求不満が残ってしまった。そのため、翌日は静嘉堂文庫に行ってしまうというオマケもついた展覧会でもあった(^^;;;
しかし、言うまでも無く、ここ(尚蔵館)に展示されていた作品は超一級の作品ばかりだし、後期も今からわくわくしながら楽しみにしている。