フィレンツェのサンティッシマ・アヌンツィアータ聖堂には、2013年・2014年と続けて通ったのにかかわらず、観るべきところをしっかり見ていなかったことが悔やまれる。
サンティッシマ・アヌンツィアータ聖堂(フィレンツェ)
訪れた目的は入口回廊に描かれたマニエリスム画家たちのフレスコ画だったのだが、残念ながら修復作業中(二年連続!)で、足場の覆いからチラ見しかできなかった。せっかく来たのに…と、気持ち的にがっかりしてしまい、教会内部はサクっとしか見なかった。
先月、某所でお勉強させていただいたら、聖堂内にあるフレスコ画《受胎告知(聖ルカの聖母)》は何とアケイロポイエトス(人の手によらない)像として有名なことを知った! ミケロッツォ設計のテンピエット(小神殿)が豪華すぎて、(柵もあるし)その奥の《受胎告知》のマリア様なんてよく見えなかったのだ(>_<)
作者不詳《受胎告知》14世紀半ば(1340年?) かすかに右端にマリア様が確認できる。
フレスコ画の前に見える柱はテンピエットの屋根を支える柱だ。ちなみに、このテンピエットはタベルナクルム(聖櫃)になるのだそうだ。テンピエット全体の写真を撮らなかったのが残念!
タベルナクルムと言えばローマの「da Guercino a Caravaggio(グエルチーノからカラヴァッジョまで)」展レポート(感想文)で紹介したグエルチーノ作品《ロザリオの15の謎と花輪を支える二人の有翼のプット》も絵画タベルナクルムということになるのだろうね(^^;
グエルチーノ《ロザリオの15の謎と花輪を支える二人の有翼のプット》・サン・ジョルジョ教区教会(チェント)
美術ド素人だから無知であることは仕方がないのだけれど、無知であることは凄く損なことだとつくづく実感する。目の前にあるお宝に気が付かず素通りしているようなもので、後の祭り的後悔すること多々…。だったら、お勉強しなくちゃね!>自分(溜息&自戒!)
ちなみに、サンティッシマ・アヌンツィアータ聖堂にはルネサンスの昔からエクス・ヴォート(奉納像)としての蝋人形(部分も)が多数吊るされていたらしい。まるでオシラサマ信仰の吊るしモノや絵馬みたいだ。
もしかして、この回廊に庶民の蝋製エクス・ヴォートが多数鈴なり状態で吊り下げられていたことになるのかな??
で、さすがに18世紀ごろには撤去されたようだが、仕事を失った蝋人形作りの職人たちが「ラ・スペーコラ」の人体解剖模型作りにその特殊技能を生かし生活の糧を見出していったという話に、なんだかフィレンツェ職人のディープな歴史を覗き見たような気がした(^^;