仙台市博物館「空海と高野山の至宝」展の後期を観た。
思うに、前期の方が充実していたような気もするが、「八大童子立像」の《恵光童子》《恵喜童子》が観られたのは幸いである。特に《恵光童子》の表情が良かった。眉間に皺を寄せ怒りの表情なのだが、玉眼に悲しみが滲む。
で、やはり弘法大師筆《国宝 聾瞽指帰(ろうこしいき)下巻》(平安時代)が見応えがあった。書はよくわからないが、それでも上手さが伝わってくる。遠い時代の弘法大師(空海)がなんだか身近に感じられたのだ。「漢字三千年」展を観たせいもあるのかもしれない。
実は、ネットで映画「空海-KU-KAI」を知り、原作本を読んでみた。荒唐無稽のファンタジー小説『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』である。
夢枕獏『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』(角川文庫)。もちろんファンタジーの世界なのだが、若き留学僧の空海により親近感が沸く。
ところで、この小説には順宗は出てくるが《金念珠》は出てこない。しかし、憲宗から「菩提樹の実で作らせた念珠」を貰っている。《金念珠》目当ての私にはちょっと残念だった(^^;
ちなみに、この唐の時代を描く夢枕獏は『長安の春』から多くインスパイアされたに違いないと思ってしまった。
石田幹之助『長安の春』(東洋文庫)。恥ずかしながら昔の愛読書。今は埃をかぶってすっかりボロボロ(^^;;
空海を知るにはもっとまじめな本がたくさんあるのに、ファンタジー小説を読んでしまう自分って何て安易なのだろうと反省(^^ゞ