碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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ぜ~んぜんハラハラしない(笑)『ナイト&デイ』

2010年10月18日 | 映画・ビデオ・映像

映画『ナイト&デイ』を観てきた。

トム・クルーズとキャメロン・ディアスの共演だ。

まあ、これだけで観客は入場料を喜んで払う、と製作側は踏んだのだろう(笑)。

中身は、「いい男との出会いを夢見る平凡な女性がミステリアスな男と偶然の出会いを果たすも、その男がスパイだったために大騒動に巻き込まれるというラブストーリーをベースにしたアクション」という“解説文”そのままでした。

いや、だからいけないというんじゃなく、トム・クルーズとキャメロン・ディアスだからこれを具現化できるわけだし、実際、何も考えずにそこそこ楽しめてしまう。

ただ、少し不満を言えば、ぜ~んぜんハラハラしないのだ(笑)。

派手なアクションは満載。

でも、緊迫の場面のはずがあまり際どくないし、危うく感じたりもしない。

何をやっても絶対安全な二人、という具合で、なんだかアクション映画のデモテープか、サンプル集を眺めているような感じ。

そういえば、映画評論家の宇田川幸洋さんが、「日経新聞」の映画評で、「シャレード」(1963年)や「北北西に進路を取れ」(59年)のような楽しさをねらった作品、と書いていたっけ。

うーん、そうなのかもしれない。

しかし、「シャレード」や「北北西に進路を取れ」には、少なくともドキドキはした。

それはドキドキするストーリー展開があったからだ。

一方、「ナイト&デイ」は、見せ場としてのアクションの設定が先にあって、ストーリーはそれを繋ぐだけ、みたいだ。

つまり、物語が二の次になっているように思う。

だからアクションの展示会みたいな印象なんだろう。

それと、キャメロン・ディアスも、そろそろ「いい男との出会いを夢見る平凡な女性」ってのがシンドイ年齢なのかもしれない。

同じくトム・クルーズも、必死の走りが大変そうで、「元気いっぱつ」のドリンクなど差し入れしたくなった(笑)。

でもね、私は、トム・クルーズがよれよれになってもアクションを続けるなら、これからも入場料を支払って観続けさせてもらいます。

キャメロン・ディアスのアクション物は、もういいけどね(笑)。