碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

映画評論家・和久本みさ子さんのこと

2010年12月10日 | 日々雑感

映画評論家・和久本みさ子さんが亡くなっていたことが伝えられた。

11月7日だったそうだ。

享年71。

そのプロフィールとしては・・・・

東京都出身。お茶の水女子大学文学部卒業。映画評論家。ベルリン国際映画祭などの審査員を歴任。共立女子大学非常勤講師も務めた。編著書に「永遠のマレーネ・ディートリッヒ」「ハンサムな女たち―77人の映画のヒロイン」、訳書に「キェシロフスキの世界」など。


私が、初めてみさ子さん(と呼んでいた)にお会いしたのは1979年6月。

約30年前になる。

勤めていた出版社を退社し、別の出版社で仕事をするようになってからだ。

当時、みさ子さんは、インタビュー記事を書いていた。

編集部の人ではなく、フリーランスの書き手であり、映画評論家であることも知った。

印象は、「凛として、クールで、しかも仕事が出来る、年上の美女」。

まだ青二才だった私は、そんなみさ子さんがちょっと怖かったものだ(笑)。

しばらくして、私も映画好きであることが伝わり、時々雑談など交わすようになった。

ハリウッド型大作ではなく、単館で上映される“いい映画”と、その見方を教えていただいたことを思い出す。

後に、私がテレビ業界に入ってからも、時々会うことができた。

編集部に行きさえすれば、いつも同じ机で仕事をしている、みさ子さんがいた。

でも、もうその姿を見ることはないのだ。


亡くなってから、ちょうど1ヶ月が過ぎてからの発表、ということになる。

もしかしたら、みさ子さん本人の意思だったのかもしれない。

そんな気がする。


みさ子さん、あの頃、いろいろ、ありがとうございました。

天国でも、いい映画を観てくださいね。

合掌。


今週の「読んで書いた本」 2010.12.10

2010年12月10日 | 書評した本たち

角川書店が、来年3月の「東京国際アニメフェア2011」への出展を取りやめた。

このイベントの実行委員長は石原東京都知事だ。

角川としては、都の「青少年健全育成条例」改正案に対する抗議ということになる。

出展取りやめの判断の是非はともかく、現在都議会で審議中のこの条例について、マスコミも含め、もっと議論することは必要だと思う。


今週、「読んで(書評を)書いた」のは、以下の本です。

南後由和・加島卓:編 
『文化人とは何か?』 東京書籍

勝目 梓
『死支度』 講談社

四方田犬彦・平沢剛:編著 
『1968年文化論』 毎日新聞社

岡田邦雄 
『ル・コルビュジエの愛したクルマ』 平凡社

木原武一 
『快楽の思想』 NHKブックス


ル・コルビュジエが設計した自動車、マキシマムカーの可愛いこと(笑)。




* 書いた書評は、発売中の『週刊新潮』最新号(12月16日号)に
  掲載されています。