碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

TBS『Nスタ』に、インタビュー出演

2010年12月23日 | テレビ・ラジオ・メディア

22日放送のTBS『Nスタ』。

大学の「留学」事情についてインタビューを受けた。

現在、日本の各大学で、中国からの留学生が増えている。

(大学院での私の授業。2人の院生も中国人留学生)


その理由としては経済発展だけでなく、ドラマなどを通じての日本への親近感・興味といったものがある。

加えて、多くの中国人留学生たちが、できれば日本で就職したいと考えている。

また、逆に「日本から海外へ留学する学生」は、本学は違うが、全国的にはかなりの減少傾向だ。

これは、就職活動の早期化で、留学で日本にいないことが不利になること。

また、採用を絞って即戦力を求める企業側にとっては、留学経験がそれほど重要な採用ポイントになっていないことなどがある。


・・・といった話をさせていただきました。


『週刊現代』で、鈴木京香さんについてコメント

2010年12月23日 | メディアでのコメント・論評

『週刊現代』最新号の記事「すごすぎるよ、鈴木京香」でコメントをしている。

NHKのドラマ『セカンドバージン』が、最終回で視聴率11.5%をマークして終わった。

記事では、ドラマのシーンを文章で再現し、鈴木京香さんの「体を張った演技」を紹介している。

「すごすぎるよ」ってわけです(笑)。

映画評論家・秋本鉄次さん、コラムニスト・亀和田武さん、演出家・鴨下信一さんといった方々のご意見が並ぶ。

そして、「家族と一緒に見るのが躊躇われるほどの色気を放つ」鈴木京香さんゆえ、NHKオンデマンドで大人気であることが紹介され、実際の視聴率以上にハマっている男女が多いという。

で、私のコメントです・・・・


その理由を元制作会社プロデューサーで、上智大学文学部新聞学科教授の碓井広義氏はこう語る。

「NHKで放映されたことがハードルを下げてくれましたね。NHKだからこそ、『そんな不倫ドラマを見ているの』と他人に言われない。

ラブシーンは最小限の露出でありながら、体温や香りが伝わってきました。それは作り手の力であり、鈴木京香さんの表現力なのでしょう。

エロティックではあるけど、下品ではない。まさにそれが彼女の魅力。

私生活があまり見えない女優なので、役柄とのギャップを感じないで済むということも貴重だと思います」


(週刊現代 2011.1.1・8号)


・・・・ともあれ、鈴木京香さんと相手役の長谷川博己さんにとっては、まるで冬のボーナスみたいな(笑)「セカンドバージン現象」でありました。

2010年 テレビは何を映してきたか(8月編)

2010年12月23日 | テレビは何を映してきたか 2010年~13年
(チョロQコレクション)


この1年、テレビは何を映してきたのか。

『日刊ゲンダイ』に連載している「テレビとはナンだ!」を読み直して、
2010年を振り返ってみよう、という“年末特別企画”です。

今日は、8月。


2010年 テレビは何を映してきたか(8月編)

「土俵ガール!」TBS

 すごいな、「土俵ガール!」(TBS系)。「土俵」と「ガール」の合体にインパクトがあるし、そもそも「元ちびっ子横綱の高校相撲部コーチ」を佐々木希に演じさせる、という大胆な発想がアッパレである。
 いや、そんなことより、大相撲がこれだけ「世間をお騒がせして、すみません」というネガティブな時期に、「相撲ドラマ」を予定通りオンエアした、その度胸に感心する。
 さらに、つい先日、不問に付されたとはいえ、暴力団関係者との会食が問題になった貴乃花親方が、このドラマの「相撲監修」をしていることもビックリだ。しかも先週は、ライバル校の校長先生役で出演さえしていた。もしも相撲協会が「貴乃花親方に非あり」として処分でもしていたら、どうするつもりだったんだろう。休場ですか?
 とはいえ、このドラマ自体は、意外や爽やかな“青春スポ根”物になっているのだ。廃部寸前の相撲部が、佐々木希の指導の下、部員集めから始めて立て直しを図ろうとする。映画「シコふんじゃった」を彷彿とさせるが、柄本明コーチと佐々木希コーチ、この違いは笑えるくらい大きい。
 後は、佐々木希が楽しく演じきることを祈るばかりだ。迫真の演技とか絶妙な表現とかは一切目指さなくていい。視聴者は「どこまでも佐々木希のままの佐々木希」こそが見たいのだから。
(2010.08.02)


「報道の魂 引き裂かれた家族~フィリピン残留日本人の戦後」TBS

 日曜の深夜、TBSは隔週で「報道の魂」をオンエアしている。地方局が制作したドキュメンタリーを多くの人に見てもらう貴重な機会だが、あまり知られていない。先日の放送は「引き裂かれた家族~フィリピン残留日本人の戦後」。制作は福岡のRKB毎日だった。
 戦前、多くの日本人がフィリピンへと移住した。船で使うロープの材料・マニラ麻の生産者になるなどして、現地での生活と移民社会を築いていった。その運命を変えたのは太平洋戦争である。
 男たちは日本軍に徴用され戦場に立った。昨日までの隣人が敵となったのだ。しかも戦後は、生き残った者の多くが日本に強制送還される。残された妻や子の苦労は想像を絶するものだった
 番組では何組かの「残留日本人二世」を取材していた。今や高齢となった彼らだが、これまで日本政府からの援助は一切ない。“国策”が原因で生まれた中国残留孤児とは異なる扱いなのだ。中には国籍さえ持てない二世もいる。「就籍」という国籍を求める活動も、この番組で初めて知った。民間の支援に頼るだけでいい問題なのかと思う。
 わずか30分の長さだが、ドキュメンタリーとしての密度は濃い。声高な主張ではなく、淡々と、しかし明確に映像で語っていたのが印象的だ。こういう番組枠が長く続くことを願う。月2回の放送なので、次回は15日だ。
(2010.08.09)


「熱海の捜査官」テレビ朝日 

 テレビ朝日「熱海の捜査官」が、じわじわと面白さを増殖させている。主演のオダギリ・ジョーは「FBIのようなもの」だという広域捜査官。3年前に熱海で起きた女子高生失踪事件を追っている。舞台が池袋でも木更津でも東京スカイツリーの押上でもなく、往年の観光地・熱海というのがすでに笑える。
 オダギリ・ジョーと三木聡監督のコンビといえば、やはり「時効警察」シリーズ。「時警」ファンは、この新作を「なんか違う」と言うだろうが、気にしなくていい。「時警」の続編を避け、また一話完結ではなく続き物にしたことも、警察ドラマの新たな“遊び方”に挑戦している証拠だ。
 このドラマを見ていて思い浮かぶのは「ツイン・ピークス」である。限定された舞台。怪しい登場人物たち。複雑な人間関係。オダギリ・ジョーはFBI特別捜査官クーパーで、警察署長の松重豊は保安官トルーマンだ。
 また「ダブルRダイナー」みたいな店には小島聖のウエイトレスもいる。そして消えた4人の女子高生がローラ・パーマーだ。その中の1人が突然生還したことで、寛一・お宮の熱海は、アメリカ北西部の田舎町ツイン・ピークスと化してしまった。
 そう、事件は解決なんかしなくていい。増えるばかりの謎と深まる一方の混迷の中、オダギリ・ジョーにはひたすら熱海を漂い続けてほしいのだ。
(2010.08.16)


「お天気バラエティー 気象転結」NHK

 「番組たまご」はNHKの新商品開発の場、試作品の見本市だ。見込みのある企画を実際に制作して放送し、出来上がりと評判によってはレギュラー化していく。「ブラタモリ」や「笑・神・降・臨」もそうだった。
 先週もトライアル番組がいくつか流された。中には映画「おくりびと」の脚本家・小山薫堂のショートストーリーを映像化した「恋する日本語」もあった。しかし定時番組(NHKではレギュラー番組をこう呼ぶ)という意味では、「お天気バラエティー 気象転結」に最も可能性を感じた。
 今ほど気象情報が大量に流され、お天気キャスターが人気を集めている時代はない。視聴者にとっては身近なテーマであり、暮らしに役立つ知識でもある。スタジオには森田正光、石原良純、半井小絵という3人の気象予報士と、土田晃之やMEGUMIなどの“気象素人”が並び、うんちくトークが展開された。
 今回、番組で取り上げていたのは雷だ。尾形光琳の雷神図から最近の絵本まで、描かれた雷に見るイメージの変遷。「桶狭間の戦い」を例に歴史上の出来事と雷の関係。雷を農業で活用する研究(半井小絵の初ロケ)など話題は豊富だった。
 それでも毎週となるとネタが心配なので、季節ごと年4回か、隔月での放送なら十分アリではないか。ただし、石原良純の進行役は今回限りでいいかもしれません。
(2010.08.23)


「借りぐらしのアリエッティを支えた職人たち」日本テレビ

 すでに600万人を動員し、興行収入も70億円を超えたという映画「借りぐらしのアリエッティ」。先週、日本テレビはNEWS ZERO特別版「借りぐらしのアリエッティを支えた職人たち」を放送した。密着120日が売り文句だ。
 番組には宮崎駿監督や今回抜擢された米林宏昌監督はもちろん、作画監督、美術監督、音響監督などが登場する。彼らはジブリ作品をジブリ作品たらしめる原動力だが、取材が総花的で中途半端なのが残念。たとえば45人のアニメーターを束ねる作画監督の仕事内容など、もっと分かるように見せて欲しかった。
 また、この番組が「NEWS ZERO」の番外編とはいえ、ジブリの仕事場を見学するだけの鈴江奈々アナとか、作曲者に形ばかりの質問をする宮本笑里とかは不要。その分の時間を、“背景画の天才”と呼ばれる美術監督や、登場人物の心情を表す音を“手作り”する音響監督の作業にもっと回すべきだろう。
 今月10日、NHKで「ジブリ 創作のヒミツ~宮崎駿と新人監督 葛藤の400日」という秀作ドキュメンタリーが流された。悩みながら作品と向き合う米林監督。じっと見守る宮崎監督。400日の長期取材は日テレの120日を大きく上回るが、単に日数の問題ではない。「何を見せたいのか」が明確かどうかで、質は違ってくるのだ。
(2010.08.30)


*テレビ時評としての「記録性」保持のため、
 文章はすべて新聞掲載時のままにしてあります。