碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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さらば、半沢直樹

2013年09月23日 | テレビ・ラジオ・メディア

終わっちゃいましたねえ、「半沢直樹」。

まあ、いつかは最終回が来るとはいえ、日曜の楽しみが、一つ
減ったことは残念です。

お話としても、きっちり決着をつけたし、出向も、彼の立場であれだけのことをやったんだから(笑)、これまた仕方ないでしょう。

半沢の出向先での活躍を描いた池井戸さんの小説「ロスジェネの逆襲」(これも面白い作品です)を原作に、いずれ続編をやるかどうか、ですね。

そうそう、最終回の中で、「伊勢島ホテル」の羽根専務を演じていた倍賞美津子さんが、半沢に向かって、「正義は我にあり?」と言う場面がありました。

これって、倍賞さんの体当たり演技が話題になった、映画「復讐するは我にあり」(監督:今村昌平、主演:緒形拳)を思い起こさせて、
ニヤッとしてしまいました。

倍賞さんがブルーリボン賞の助演女優賞を受けた、1979年の作品です。


視聴率が注目されていますが、予想としては、40%いったかも(笑)。

いわゆる“ミタ超え”ですね。

23日が祝日なので、数字が出るのは24日になりますが。

そんなこんなの話題も、秋風と共に去りぬ、となるわけです。

ちょっと寂しい。

しかも、次の「日曜劇場」は、誰が見たいのか知りませんが、ミズタクじゃなかった、キムタクさんのロボット物(笑)。

やはり、日曜の楽しみは、一つ減ったままになりそうです。


「半沢直樹」完結記念として(笑)、7月に放送が始まった直後、日刊ゲンダイで書いたコラムを再録しておきます。


ドラマ「半沢直樹」TBS
大胆さが吉と出た

夏ドラマの初回視聴率がとても高い。テレビ朝日「DOCTORS2」19.6%。フジテレビ「ショムニ2013」18.3%。そしてTBS「半沢直樹」が19.4%だ。

個別の分析はともかく、最大の要因は「毎日メチャ暑い!」ことだろう。この猛暑では外で夜遊びする気にもならない。みんな早く家に帰って、クーラーの効いた部屋で休息したいのだ、多分。 

「半沢直樹」の注目ポイントは2つある。

まず主人公が大量採用の“バブル世代”であること。企業内では、「楽をして禄をはむ」など負のイメージで語られることの多い彼らにスポットを当てたストーリーが新鮮だ。

池井戸潤の原作「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」は、優れた企業小説の例にもれず、内部(ここでは銀行)にいる人間の生態を巧みに描いている。

福澤克雄ディレクター(「華麗なる一族」など)の演出は、この原作を相手に正攻法の真っ向勝負だ。

第2のポイントは主演の堺雅人である。

今年6月、「リーガル・ハイ」(フジ)と「大奥」(TBS)の演技により、ギャラクシー賞テレビ部門の個人賞を受賞したが、まさに旬と言っていい。シリアスとユーモアの絶妙なバランス、そして目ヂカラが群を抜いている。

思えばタイトルを「半沢直樹」としたのは大胆な選択だったはず。
その大胆さも吉と出た。

(日刊ゲンダイ 2013.07.16)



・・・・さらば、半沢直樹。